いくつか既視感がありました。
まず思ったのは、『さよなら ほやマン』の松竹バージョンリメイクみたいやな、ということ。
別に中村雅俊さんがホヤを手にしたからというわけではなく、都会から突如現れて田舎(港町)で住む家を物色する「外の人」と、ずうっとしんどさを抱えながら暮らしてる「内の人」とのやりとり…。
でも中村さんのあのホヤね、あれは脚本の流れから言うと、そして『土を喰らう十二ヵ月』を彷彿とさせるご馳走たちのイメージてんこ盛りの流れからいくと、やっぱり料理になって出てくるべきですよね。なんか撮影のタイミングで料理できなくて、ああいう中途半端な取り上げられ方になったような気もする。
もう一つは中村雅俊さんのキャラクター設定。どうしても『風の電話』の西田敏行さんを想い出してしまうんですけど、そういうこと思った人、絶対いますよね?
あの時の西田さんみたいに中村さんもアドリブやり張ったんかなあ。
あと、役者さんでいうとやっぱり誰を置いても千鶴さんでしょうね。確信犯的に過剰なあの芝居は圧倒的に彼女の真骨頂かと。大阪育ち吉本興業所属の彼女、出演作全部大好きですけど、今回は『大阪物語』『ジョゼ』に匹敵する当たり役じゃなかったかしら。
映画的には終盤の「くどくどしさ」(駄洒落半分)がどうかな、という感想です。普通、川に浸かりながらのバーベキューで締めません?(もちろん熊さんからのプレゼントは無しで)
これでもか、これでもか、のラストシーンが連続してちょっと飽きました。
菅田将暉さんも池脇池鶴さんも大阪人ぽさをきっちりアピールしながら(やたら自己アピール強烈で、隙あればポケットから飴ちゃんとか出しそう)、でも見事に非大阪人を演じておられました。