TakahisaHarada

ファーゴのTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

ファーゴ(1996年製作の映画)
3.9
人の悪い部分も良い部分も両方描かれた、サスペンスでありブラックコメディって感じだった。ジェリーの幻滅(人生の価値観がマイナスに)とマージの啓発(人生の価値観がプラスに)の両面が描かれてる。

脚本の面白さはもちろん(実話でも何でもないの笑った)、フランシス・マクドーマンド、ウィリアム・H・メイシーの演技も印象に残る。フランシス・マクドーマンドはセントポールの妊娠中の警察官と協力して役作りしたらしく、この頃から既に徹底ぶりがすごいなって感じ。ただ、ミネソタ訛りのすごさはそこまで分からなかった…。
オスカー主演女優賞の陰に隠れてるけど、同じく助演男優賞ノミネートのウィリアム・H・メイシーも良かった。頼りなさ、小物感が抜群で物語の説得力が増してる。何となく既視感…と思ってたらジュラシックパークⅢの父親か~あっちも頼りなさ、小物感という意味では共通。
「顔がヘン」と言われ続けるスティーヴ・ブシェミも笑った。

マージとノームからは「日常の小さな幸せの尊さ」的なメッセージを受け取った。ありきたりなテーマではあるけど、説教じみた感じなく、じんわり広がってくる伝え方が好きだなと思った。ゲア逮捕後のパトカーでの会話とか、ラスト3セント切手に絵が採用されるくだりとか良い。
観た後で、マージとノームが一緒に写るシーンはベッドにいるか食事してるかのどちらかしかない、ノームも元々警察官だったけど妻に譲って自分は画家になった裏設定ありっていうのを知ってこのあたりも効いてたなと思った。
浮いてる印象だったマイク・ヤナギタのシーンは、コーエン兄弟曰く「事件や結婚生活以外でマージのキャラクターを発展させるために書いた」らしい。