TakahisaHarada

エターナル・サンシャインのTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
4.4
勝手にロマンス映画だと思って観始めたけど、どちらかと言うとSFかつ倦怠カップルが一歩踏み出す恋愛映画って感じでめちゃくちゃ良かった。

序盤、時系列が錯綜していて混乱したけど、途中から新しい記憶から順に遡って消されていってるんだと掴めるし、クレメンタインがコロコロ変える髪色には時系列を伝える意味もあるのだと分かる。
楽しかった記憶が消えていく切なさも良かったし、2人の一番良いときと悪いときを立て続けに描く倦怠カップルもの的な見せ方なのかと思いきや…っていう構成もめちゃ良かった。(悪い目覚め、車のキズ、「モントークで会いましょう」、珍犬ハックル、どれも良い)

ニーチェやアレキサンダー・ポープを引用して、忘却は許すことで、そのことがより良き前進を生むということを伝えているし、ロマンス映画では描かれない、互いの本質が見えて憧れを失ってからの2人を描いているところがとても好き。
ラストもジョエルが珍しく行動を起こすところがまず良いし、いずれ退屈してお互いのことを嫌いになるだろうけどそれでも構わない、という2人のやり取りが感動的でめちゃくちゃ良かった…。

記憶の中ならではの突飛な描写も楽しかったし、記憶を消す側のラクーナ社の人らにも色んな物語がありそうなのも良かった(ジョエルの記憶を盗みクレメンタインと結ばれようとするパトリック、ハワードと不倫して記憶を消されるメアリー、不倫の事実を知っていて?付き合ってるスタン…)。