~雪原に埋もれる罪と罰、ブラックユーモアの極致~
「ファーゴ」は、コーエン兄弟監督による犯罪サスペンスの傑作である。舞台は雪深いミネソタ州。ウィリアム・H・メイシー(「シェイムレス 俺たちに恥はない」)が演じるカーディーラーのジェリーは、借金返済のために自分の妻の誘拐を計画する。しかし、その計画は次第に狂い始め、予想外の悲劇を招く。
一方、フランシス・マクドーマンド(「スリー・ビルボード」)が妊娠中の警察署長マージ・ガンダーソンとして登場。彼女の地道で鋭い捜査が物語に緊張感を与える。独特の方言と暖かみのあるキャラクターが、冷たい雪景色との対比で印象的だ。
おすすめのシーンは、マージが犯人に人間としての在り方を問いかけるラストの場面。静かな語り口が心に響く。ちなみに、この映画でマクドーマンドはアカデミー主演女優賞を受賞している。
ブラックユーモアと人間の愚かさが見事に描かれたこの作品は、観る者に深い余韻を残す。犯罪映画の枠を超え、人間ドラマとしても一級品だ。