マリリン

ファーゴのマリリンのレビュー・感想・評価

ファーゴ(1996年製作の映画)
4.0
【必殺!人間ミンチ】
◉1997年度アカデミー賞主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)、脚本賞(コーエン兄弟)受賞。
極寒の中妊娠した大きなお腹を抱えて難なく仕事をこなす警察官のマージは映画史に残るヒーローだと思う。妊婦という女性への労わりや遠慮はこれぽっちも感じさせず、謎の殺人事件を追い続ける。妊娠している彼女はよく食べる。優しい旦那と朝昼晩しっかりと。殺人事件を追う刑事とは思えないほど健全な精神力!「Oh! Yeah?」というのが彼女の口癖。とてもアメリカ的なリアクションだ。
コーエン兄弟お得意の誘拐事件から物語は展開する。しかし、これは狂言誘拐であり、本来なら誰も傷つくことがない。でも歯車が狂って取り返しがつかない大きな事件となる。事件が事件を生んで絡まっていく感じ。
登場人物もコーエン兄弟らしくヤバイ奴らばかり。妻を誘拐して欲しいと依頼する中古車販売のジェリーは義理の父でもある社長にいつも小馬鹿にされている。詰めが甘い彼はいつも難を逃れるために嘘をついてしまう。そんな彼から狂言誘拐を依頼された二人組、カールとゲア。カールは小男でこちらも口は達者だが鈍臭い。そしてゲアは無知な大男だが、何を考えているのかわからない故暴力的。
こんなヤバイ奴らの事件がどんどん複雑化していく中、しっかりとご飯を食べるマージの独特な存在感が異様で印象的。どんどん物語に引き込まれていって、最後の最後の人間ミンチは「おぉ!やっぱコーエン兄弟だ!」と唸る名場面。
白い雪原に赤い血。それだけでも危険さと美しさがある。
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