ジョナス・メカスの影響下にあるジェシカ・サラ・リンランドによる撮影は牧歌的に動物園での活動を捉えているが、動物への愛がある種の上下関係、人間の自然に対する植民地主義的な側面を批判的に描こうとしているらしい。ただ、それにしてはあまりにもジョナス・メカスの質感、いわゆる「エモい」を体現したような淡きイメージが理論の弱さへと繋がっている。先行例としてはフレデリック・ワイズマン『霊長類』やAna Vaz『IT IS NIGHT IN AMERICA』があり、前者はドライな研究者の眼差しから、後者は動物の鋭い眼光によって人間の自然に対する植民地主義的な側面が浮かび上がっていたので上手いアプローチとは思えなかった。