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満ち足りた家族のrebのレビュー・感想・評価

満ち足りた家族(2024年製作の映画)
3.4
高3の娘がいる弁護士の兄は、若い後妻との間に子どもが産まれたばかりで、お手伝いさんが全て家事をやってくれる裕福な暮らし。
小児科医の弟は、年上の妻とボケ気味の母と高校生の息子(ちょっとおとなしめでいじめられっ子)と暮らす。こちらも兄ほどではないが金持ち。
月に一度の大人だけの高級レストランでの食事会はどこかぎこちないが、その夜子供たち2人がある事件を起こす‥。

道徳よりも物質的な利益を優先する弁護士の兄をソル•ギョング。
兄とは対照的に、高潔と道徳を重んじて生きてきた弟を、5年ぶりの映画復帰となるチャン•ドンゴンが演じる。
名優2人の演技合戦の火花の散らし合いは、さすがだった。
  
原作は「冷たい晩餐」というオランダの小説で、何度か映画化もされている。
舞台を現代の韓国に置き換えたホ•ジノ監督は、昨今の母国の受験戦争の狂騒ぶりは子どもたちに良くない影響を与えると考え、ささやかでいいからこのテーマを映画で扱いたかったと語る。

受験のストレスか、今の生活のストレスか金持ちの驕りか、子どもたちの不満のはけ口は弱い者へと向かってしまう。

その事実を突きつけられた時、悪人でさえも弁護していた兄や、命を助けることに人生をかけてきた弟の信念は、我が子の前にガラガラと崩れ去る。

葛藤と諍いの末の、取り返しのつかない激情とは‥。

どういう結末を迎えるのかずっとハラハラ。いやぁ面白かった!
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