このレビューはネタバレを含みます
小学生の時手に取った湯本香樹実の古本と同じ匂いがした。ページを捲って浮かぶ景色や登場人物がそこにあって、なんだか懐かしかった
お爺さんを追いかけ回すきっかけになる、死を見たいという理由を橋の縁を歩きながら語るシーン、スイカを切るために走って砥石を取りに帰り、父の仕事への尊敬を語るシーン、元妻が一周回り戻ってきて顔を見るシーン、台風の夜や病院での迷子、一面のコスモスなど随所に丁寧な仕事が光っていた
いつもカメラを構えている子が気になっちゃう
小学生の時に祖母が亡くなって、死人の顔を初めて見た時を思い出した。確実に悲しいんだけれども、それ以上に見たこともない、新しいものに触れたような感触があった 同い頃に触れる死ってなにか神秘的なものがある