人間不在の終末ディストピア世界を冒険し放浪する動物たちのロードムービー。
2025年アカデミー賞にて長編アニメーション賞を受賞した本作を見に行ってみた。
めちゃくちゃポリゴンで特異なアニメーション"Away"を撮ったギンツジルバロディス監督がアカデミー賞を受賞というすごい出世、いざ見てみると世界観がすごいアニメーションすぎて没入感が異常だった。
ストーリーというものは皆無、人間がいないけど建物が残っている"不在"な世界で動物たちが洪水被害に見舞われる一種のディザスター映画なわけだが、そんな水に浸かった世界を小さな船で冒険していくだけで異様にアドベンチャーしてて楽しい。言うなればオープンワールドのゲームみたいな感じで、ただひたすら世界を巡っていく感じがなんかちょっとFPSっぽくてライド感があるアニメーションといったところか。
あと作り込まれた世界観に対し美麗な動物キャラクターではなく、あくまでもCGっぽさが残されており、動きに全振りしたキャラクター作りがめちゃくちゃリアルで素晴らしい。リアルを狙っているため喋ることもないし、それぞれの種の特徴を捉えた関節の動きやクセによる行動とかがやけに力を入れているのが凄く良い。前作"Away"でも感じたことだが現代日本アニメが忘れ去った現実に即した動物のリアルな動きが全振りで表現しているのを評価したいぐらいだ。
いやはやいろいろ好きな部分はいろいろあるが、結局どこまでも続く広い世界にただ圧倒されるビジュアルになす術もない映画体験だったと言うべきか。超自然的な世界観の中で大自然の象徴である動物たちと神秘的な冒険する、実はまごうことなき映画館映えな冒険映画なのに1番驚いてる次第。終末ディストピアな世界観で人間の不在感が素晴らしく非日常を演出してくれている。
