この世にはキラー○○というタイトルは沢山あって、パッと思いつくのは『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』とか『キラーコンドーム』であろうか。日本で劇場公開されたキラー○○シリーズの最新どころは『キラー・ナマケモノ』だろうか。ま、この三つのタイトルを挙げただけで分かっていただけるとは思うが、共通するのはクソ映画ということである。そういや近年では『キラー・ジーンズ』とか『キラーソファ』というのもあったな。んで本作は『キラー・ザ・ハイヒール』である。
もうこれ以上は何をかいわんやという感じなのだが一応感想文なので感想を述べさせてもらうとつまんなかったすよ。いやまぁ間違っても「これは傑作に違いない!」とか思いながら劇場へ行ったわけではないので、まぁこんなもんよな…、というところではあったのだがそれでも中々にキツイな~! ってなってしまいましたね。
お話は何か、主人公は20歳くらいの人気インフルエンサーでしかも父が有名なCMディレクターで母がファッション業界の大物という設定なのでお嬢様なんですよ。でも箱入り娘として生きていくのが嫌らしくて彼氏と一緒に地元の不良グループというかハッキリ言えば犯罪グループに所属して荒れた生活を送ってんですよね。しかもその犯罪グループってのが万引きとかカツアゲしてるようなほのぼの集団ではなくてアーチェリーで使うようなコンパウンドボウを使って強盗殺人とかしてるやべー奴らなんですよ。闇バイトもかくやという鬼平シリーズで言うところの畜生働きを平気でやるような奴らなんですね。そんなある日主人公の母が大量の金塊を探していることを知るのだが、その金塊というのは主人公が属する犯罪グループが標的にしていたものだった…というお話です。
ま、一言で言えば恵まれた環境で育った娘が親と対立して独り立ちするというお話にエキセントリックな要素を色々と継ぎ足した映画ですよ。そういうお話はよくあるでしょ。だからね、割と普通の映画なんです。確かに
ビジュアルには奇抜さはあるし、トンチキな設定は目を引くところもあるし、大事なこととして作中で人もそこそこ死ぬのだが「ここ! コレを見てくれ!!」という面白ポイントがなくて終始締まりがなくて盛り上がらないんですよね。
チラシなんかにも「狂った世界で1番狂え!」とか刺激的な惹句があるし、上記したように、そんな理由で? というくらいに軽いノリで命が消え去っていくのだが、なんつうか作品全体にメリハリがなくて終始そういうノリで進行していくからすぐに慣れて飽きちゃうんですよね。作り手側がナチュラルにズレていて異常な描写を入れてくるという感じではなくて、あくまでも普通の人が狂人のフリをしてるだけっていう感じが全編に漂っていて正直観ていて辛いものがあった。ま、そこはキッチリ計算して作っているのだということで評価できるポイントでもあるかもしれないが、俺はこの映画でこれをやりたい! みたいな情熱はあんま感じなかったんですよね。
なんだったら冒頭のハイヒール大砲が一番面白かったよ!
まぁそんな感じなので個人的にはグッとくるところはあんまなかったんですが、上記したようにビジュアル面での面白さは中々のものでチャリを漕ぐ被り物執事とかはすげぇ良かったなぁ。あぁいう幻想的な退廃感を単なるビジュアルだけではなくてもっと物語に食い込ませていけば面白い世界観とか設定が生まれたんじゃないかなぁという気はしますね。
結論としては最初に戻るが、キラー○○ものとしてはまぁこんなもんよねという作品でした。