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山逢いのホテルでのiwakumoのレビュー・感想・評価

山逢いのホテルで(2023年製作の映画)
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『ジャンヌ・ディエルマン』への言及があり嬉しかった。都市に幽閉され女性性に圧殺されてしまった彼女とは構図的には同じであるものの、調律の中で破滅してしまったジャンヌ・ディエルマンとは対照的に、クローディーヌは自律しながらうまく自分を解放していたように見えた。

山中瑶子監督は本作の山々について"ただそこにあるだけ"で、解放の手助けもなく逃げ場にもならないと言っていた。たしかにそうかもなあ。本作はどこか一抹の爽やかさを最後に感じたのだけど、クローディーヌからしてみれば都市にすら辿り着けず大自然にひとり往生する鬱屈さから、あの慟哭があったのかもしれない。
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