新年早々、とてつもない作品に巡り合っちゃった💦
そう、何か今年の1月にこんな映画を観るとは!
長塚京三演じる元大学教授は妻に先立たれて一人で暮らしている。子どももなく、時々、原稿の依頼やら心配して訪れてくれる大学の教え子たちがやってくるくらい。
でも、決して老いぼれたり、荒んだりの生活ではない。
映画は冒頭から渡辺の日常生活、特に食生活(食事を作って食べる片付ける)を丁寧過ぎるほどに描いて見せてくれる。そこには、まだ老人の一人暮らしの侘しさは少ない。むしろ自ら動けることの手応えを1日ずつ積み上げているこの人物の堅実さを感じる。
そんな彼を襲う「敵」とは?
本作はその敵への恐怖感は受け手の年齢や家庭環境によってかなり違ってくるかもしれない。
そう、とても個人的な記憶へ、本作は接触していく。
私の場合、、、
この渡辺儀助という人物と昨年暮れに亡くなった実父とをオーバーラップさせて観ていた。
父も渡辺同様、母に先立たれて数年間はひとりで生活を営んでいた。食事など家のこともひとりでやれていた。
暫くはそれを許されていた。
だが、敵はゆっくり父に、渡辺に、存在を気付かれないように近付き、ある夜に一気に襲いかかってきた!
父も渡辺も強い人間であるが、敵の襲来を止める言葉できなかった。
本作は、その微細な攻撃を実に巧みに描いている。
どこからが実際なのか、頭の中の世界なのかの区別がつき難い。特に瀧内広美演じる教え子とのシーンは、ドキドキもするし、切なくもある。瀧内さんの雰囲気も実に良いね〜
本作を観た殆どの人が持つであろう感想だが、、、長塚京三さん、上手いねえ〜
同列の作品に「ファーザー」が思い浮かぶが、
それでアカデミー賞を獲得したアンソニーホプキンスに並ぶ緻密で精巧な演技だと思った。
万人が楽しめる、感じられる作品ではないかとしれないが、とてもクオリティの高い映画だと思う。
まだ年が始まったばかりだが、年末までこの映画の独特の雰囲気、敵の恐ろしさを忘れないでいたい。