長らく映画作品に恵まれなかった平祐奈が、2022年の舞台「奇跡の人」のヘレン役や、映画『恋は光』を得て目覚めちゃったのか、本作では彼女の魅力が全面展開。
最近流行りの、今は何者でもない若者の煩悶を描きながら、遂にはそれまでの努力が実を結ぶかのように羽搏いていくように思えたのですが。
何者でもないと言っているけれど、台湾映画『あの頃、君を追いかけた』のヒロインの如くに/自分は努力しないで、他人のする努力を見下すような人を軽蔑する!と叫んだり、もしも世間に負けて毒まんじゅうを喰らおうとしたらお前が止めてくれ!!とシャウトしたり、道に迷えば地図が作れる、とばかりにそこにいたのはちゃんと屹立していた人格だった。『佐々木、イン、マイマイン』の、出来るからやるんじゃない、出来ないからやるんだ、に通じる絶叫。
ラストは、これが青春だ!これが志しだ!これがロックだ!というような情感溢るる消え去り方。まるでアラン・シリトーの「長距離ランナーの孤独」を再現するかのような平祐奈がそこにいるのです。