アメリカで最初の長編劇映画。題名訳「飼い葉桶から十字架まで」。キリストの生涯の映画化で中間字幕は新約聖書からの引用。パレスチナ、エジプトでロケ撮影を敢行しグリフィス監督やデミル監督に大きな影響を与えた一本。
イエスの誕生が両親に予告された後、彼はユダヤの町ベツレヘムで生まれ馬小屋の飼い葉桶に寝かされる。天使に救い主の降誕を告げられた羊飼いや東方の三博士は幼子イエスを訪れる。家族はユダヤのヘロデ大王を避けてエジプトに滞在した後、ナザレに定住する。成長したイエスの元に弟子たちが集まり次々と奇跡を行い始めるが。。。
中東の大ロケーションを活かした俯瞰やロングショットが効果的で映像完成度が高い。聖書映画は本作以前にも作られているが背景は殆どが書割によるもの。実写は桁違いの迫力であり、本作は映画史上初のスペクタクル長編と言えるかもしれない。
聖書の名場面宗教画を実写再現した様相で良い構図も多い。物語、映像共に欧米スペクタクル映画の原点に聖書の存在があることを再認識させられた。最低限の聖書の教養がないと十分には楽しめないと思われるが、それは全ての欧米映画に共通して言える事だと思う。
※メモ
「イントレランス」(1916)グリフィス監督
「十誡」(1923)デミル監督