櫻イミト

生きた屍の城の櫻イミトのレビュー・感想・評価

生きた屍の城(1963年製作の映画)
3.5
クリストファー・リー主演。今年亡くなったドナルド・サザーランドのデビュー作。伊仏合作のB級怪奇エンターテイメント。知る人ぞ知るイタリアの怪物公園こと“聖なる森”でロケ。

絞首刑のトリック芝居を売り物にしている5人組の見世物一座が、人里離れた古城での公演を依頼される。道中で謎の老婆(サザーランドの二役)から「生ける屍の城に気をつけろ」と告げられ、到着したのは大量の鳥のはく製が展示された城だった。招き入れたドラゴ伯爵(クリストファー・リー)は「私は科学者で死の秘密に興味がある」と語る。実は伯爵には恐るべき秘密があった。。。

怪奇映画ではあるが演出や劇伴はアドベンチャー風で何だか楽しい印象が残った。サザーランドは怪しい老婆&コメディ担当の巡査の二役で、デビュー作にして怪演を見せていた。

メインロケ地であり怪物の彫像が並ぶ“聖なる森”は、澁澤龍彦の本で写真を見たことがあり興味を持っていた場所。怪奇映画のロケ地としては最高なはずだが、本作ではインディージョーンズあたりに出てくる魔宮のように見えた。

小人が実は英雄だったという落としどころがユニーク。役者陣は個性派ぞろいでロケーションは申し分なく、演出もシナリオもテンポよく完走する。怪奇映画として観たらコワさが足りないが、見どころの多い変化球ゴシックホラーと言える。

※脚本マイケル・リーブスはカルトホラー「Witchfinder General」(1968)を監督した翌年に25歳で早逝した伝説的人物。
櫻イミト

櫻イミト