【Subconscious Fragment】【東京国際映画祭】
■あらすじ
地下の暗闇から「影」が姿を現す。
ある女の意識と交信し、女は白昼夢を見るように、時代も場所も超えた断片的な記憶を見るようになる。女の姿を借りて「影」は旅をする。
地上から見えない場所に身を置いて、時の流れに埋もれた人の記憶に耳を澄ませ、かつてそこで起きたことをトレースしてゆく。「影」は、ふと入った映画館で出くわした映像に導かれ、湖の底に沈んだ街に向かう。
■みどころ
謎の影によって様々な場所を旅する女性のお話。
水たまりに浮かぶ光や影は何か生き物ような存在を示唆し、とある女性の肉体を借りる。
ガマと呼ばれる洞窟、そこで戦争・戦争によって苦しんだ一般人の事を後世に伝える老人がいる場所へ出向いたり様々な自然に出向く。
全体的にアート映画要素が強く、特に音のデザインが秀逸だと思った。
観る人の想像力が試される本作だが個人的には結構面白かったです。
影によって各地の戦争による爪痕を物質・概念的に汲み取って、戦争の恐怖に曝された人々の集団思想をガイドする神秘的な映画でした。
全体的に水と音の手法がそこに誰かがいた事を暗示するツールになってて良い。
誰かの深層心理の断片をかき集めて面を拾うような作品ではあるが、神秘的ながらも場所に滞留する精神的な何かに赴くことで人は何を感じ取るか?という部分において掻き立てられるものがある作品と言える。