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愛の調べのScriabinのレビュー・感想・評価

愛の調べ(1947年製作の映画)
5.0
音楽に対する愛、作曲家に対する敬意が滲み出る一作。内省的、文学的で「小さく日常に溶けこむ」ようなシューマンの音楽を、ずっとバックで流すことで表現していた。幻聴の表現も迫真だった。観客も一緒に違和感を味わう。あとちゃんと史実と異なる部分があることを明記しているのは素晴らしい!
才能が色褪せ病弱になっていく中年男という、ハリウッドにしてはかなり退屈な役どころだけれど、これほど味わい深い役もない。弱っていく間に作られた曲の甘美なこと!男性に媚びず内から輝く魅力を持つクララという役もヘップバーンにハマってた。ただこのふたりの関係性の描き方にはかなりヴィクトリア朝的な倫理観もあるはずで、2008年の映画化はこれのアンチテーゼだったんだろう。ヨハネスをかっこよく描き直したのも…
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