『どうすればよかったか?』
これは母との折り合いが良くなかったわたしが、19歳で実家を出てから自身に問いかけ続けている言葉でもある。ちなみに絶縁などはしていない。
家族とは他人同士の最小のコミュニティであり、同時に血縁という呪縛でもある。相手との間に価値観や認識の深いズレを感じたときに離れるという選択は、この特殊な集まりでは容易ではない。
監督は両親を糾弾する目的でこの映画を作ってはいない。恐らくは自問自答から始まり、やがてその問いの先は両親に、姉に、そして劇場公開されたことでスクリーンの向こうの人たちに投げかけられていく。
家族の数だけ関係性があり、たったひとつの価値観を擦り合わせることさえ困難な場合もある。それでも「そのときに"可能な範囲での最良"」を選ぶ努力をするしかない。
『どうすればよかったか』
問いの裏には「もっと他に道がなかったか」という後悔や戸惑いが存在する。過去は覆せない。この映画を観たわたしが出来ることは、これからの未来でより最良な選択ができるよう、自分に問い続けていくことである。