(ネタバレあり)
映画としての完成度にビビる
クオリティで言うならわさドラ、と言うかドラ映画トップの座に何年か君臨し続けるであろう作品
わさドラスタートから20年近く経ってようやくこのレベルの作品が出たってのは正直どうなのとは思うけれども、これからのドラ映画スタッフたちには是非この作品を教科書にして映画作りに励んでいって欲しい
脚本の粗が一切なく、徹底的にツッコミどころを無くそうという製作陣の気概が感じられた。
恐らく展開を書く→ここおかしくない?とかここあの道具使えば良くね?ってところをとにかく詰めに詰めて観客から出るであろうQ&Aを潰しまくったんだろうなと、脚本の作り込みに感動する
とにかく伏線と布石だらけで、全てのシーンが後の展開に繋がってて中弛みが一切無いのには驚いた。
スタッフがいらないと判断したであろうシーンも削りまくってるから無駄なシーンがゼロ(TPとタイムハンターのその後とか)
このシーンで出て来たこの道具があのシーンで効果的に使われてる!とかあのシーンのあの描写はこのシーンのためにあったのか!的なのが凄く多くて良かった
分かりやすい伏線もあれば深く考えるとなるほど!と気付く伏線もあって観客としてもとても楽しい
正直先読みはほぼ出来てしまって展開自体への驚きは無かったんだけど、子どもたちからしたら絶対に楽しいし面白い
最後のギミックも気付いてなかったらめちゃくちゃ驚くだろうし
そのギミックに対してのアフターケアもしっかりしてた(まあちょっとご都合感というか、あーゴリ押したな〜感はあった)
ドラマとしても『空の理想郷』みたいな説教臭いメッセージじゃなく、キャラのセリフが自然にメッセージになってて脚本家を後ろに感じないのも良い
メッセージ自体も、かつて筆を折ってしまった大人にも、いま絵を描いてる子どもたちにもダイレクトに刺さる素晴らしいものだった
最後ののび太家でのシーンもしっかり尺取って粋なドラえもんのセリフで締め……と、『新恐竜』のラストみたいな爽快感があった
正直序盤からずっと引き込まれっぱなしで、まずオープニングであの曲が復活したので声出たし、その映像がまあ最高なのよ!!
名画オマージュも多くて観てて楽しかった(本編でやって欲しかった感はあるけど中弛みを懸念して省略したのかな?)し、最後の原作絵!あれも声出ちゃったね思わず
あそこはかなり激アツだった
あと本編では神話オマージュも多くて面白かったな。最後の晩餐とかモーゼの海割りとか
てか今回アニメーションエグくない?
ヌルヌル動くアクションシーンあってうおwってなったし、なんかキャラの頭身も全体的に原作に寄ってる感じした。
特にしずかちゃん
内容。
まず既に物語が動いてる状態から始まるのが面白かった!
大体は導入でのび太たちが映画の内容に関するトピックを話す→興味を持ってドラえもんに相談→大冒険に出かけるって感じだったけど、今回は既にキーアイテムである絵本入り込みライト(小中のとき絵本入り込みぐつがめちゃくちゃ欲しかったから遂に映画で使われてかなり嬉しかった)をのび太たちが使ってるところから始まるのは最初から観客を飽きさせない工夫を感じられた。
その後のクレア姫(去年といい今年といいロリヒロインがとても可愛いの何なんだ。明らかに作画気合い入ってたしロリ好きがスタッフの中にいるだろ)の逆異世界転生的な小話・ジャイアンのちょっとした見せ場アクションはどんだけ子どもたちの笑顔が観たいんだスタッフゥ!となったね
あと結構新しい道具も出てた気がする?
途中の偽クレアは『ひみつ道具博物館』みたいにコピーロボットのトリックか!?と思ったら違う道具で面白いズラシだった
終盤の色が消えるシーンはシンゴジで笑った
去年は音が消えて、今年は色が消えるってのも繋がりが感じられて良かった
あと細かいディテールよ!
中盤あたりでクレアが城に帰るとき、橋の上を歩いている画面端のクレアが一瞬指で涙を拭ってる場面があったんだけど気付いた!?
で、実際の再会の時は泣いてないのよ!
なんと細かい!
そして絵クレアの風呂嫌いって設定も、水に触れたら溶けてしまう絵の中の人物って伏線になっててエグい
城内部のドラえもんたちの部屋もユニークな部屋になってていろいろ細かくてすごい
ただ、強いて言うならクライマックスの盛り上がりはあんまり無かったかも
色消えたシーンの絶望感は凄かったし、水に戻す道具で決着ってのもガチで全シーン布石じゃんって少しアツかった
でも、ドラえもんが色抜かれる直前に取り出したあの道具、形を見て最初「うわもしかして親友テレカ!?!?」とドラえもんズを期待してしまってその後の展開にスン……となってしまった自分もいる
で、それが俺がこの作品を評価はすれどあまり刺さらなかった理由で、
去年と今年で比べて、クオリティはもう今年よそりゃ。
ただ、鑑賞後の満足感や余韻は去年の『地球交響楽』の方が高かったかな
つっても『交響楽』は全体の100分くらいゲロつまんなくてクライマックスの15分に一点集中してる構成だったから、ああ言う博打よりは今年みたいに堅実な姿勢で地に足ついた映画作りの方が絶対に良い
ただ、今年は刺さりはしなかったってだけ
後世のドラスタッフが絶対に見習うべきは今年だからマジで
来年はワンチャン海底鬼岩城リメイクかもしれない
まあ恐らくサメ映画オマージュの作品だろうけど!