【第25回東京フィルメックス コンペティション部門出品】
サンディヤ・スリ監督の長編デビュー作。カンヌ映画祭ある視点部門に出品、アカデミー国際長編映画賞イギリス代表にも選出されている。
軽んじられる女性、カースト制度、警察の腐敗…インドの様々な社会問題に切り込んだ意欲作。ではあるが一つ一つが長く不要なシーンもみられやや冗長に思えた。
もちろん扱われている問題は根深く重要だ。不可触民である少女の殺害事件をきっかけにしたサスペンス仕立てになっている。そこからインドの様々な社会問題が立ち現れてくる。
そもそも未亡人となった女性が夫の職を継げるという制度を初めて知った。監督によると夫に限らず父親の場合でも適用されるという。その舞台立てが面白く、意外性のある物語も興味深い。
ただ、それぞれのシーンが少し長いと感じた。描かれていることは重要であるし物語も面白い。しかしテンポが悪く冗長に感じたことは確か。もう少しテンポアップして二時間以内に収めることは可能だったのではなかろうか。
そういった意味で惜しい作品。とはいえ長編デビュー作でこのクオリティというのは驚きだし、注目の監督であることは間違いない。日本公開されてもおかしくない気がする。