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アリス・クリードの失踪のとぽとぽのレビュー・感想・評価

アリス・クリードの失踪(2009年製作の映画)
3.5
一筋縄ではいかない誘拐劇…人の好きな気持ちを利用する輩には制裁を!

いつまでも流れてくれないでそこに居座り続ける銃弾みたいに、うまく行かない不都合な犯罪計画は観客として非常に美味しい題材。登場人物3人だけなのだけど、それぞれの2人の時間が物事をややこしく、もう誰も信じられない騙し合いバトルに発展していく。
舞台劇的で、ジェマ・アータートンはじめ体当たりの熱演で見せる役者3人の力で、シンプルイズベストな掘り下げる面白さとその醍醐味をJ・ブレイクソン監督は嫌な方法で僕たちに味わわせてくれる。別にどんでん返しとかでもなく、あくまで見たままなのだけど、いかに人間の感情・心情や信頼が変わり脆く崩れ去るかを描く上で、ガツガツザラザラとした風合いに肝の据わった気骨を感じさせる作風。
どっちにもいい顔する恋愛詐欺師みたいな野郎の真意は、果たしてどちらに?それとも?? 恐ろしくスマートでスリリングで何より無様で醜い、デスゲームものに通じそうなくらい。だけど、だからこそ嫌にリアルな密室モノ。ゆく果ては幸か不幸か、誰が逃げ果せるのかは見てのお楽しみ。

Fuck that!
勝手に関連作品『ハイネケン誘拐の代償』『運命のイタズラ』『ピアッシング』
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