Uえい

アラビアのロレンス/完全版のUえいのレビュー・感想・評価

3.5
デューン原作でも参考にした映画との事でえいやっ!と見始めた。有名だけど4時間近い上映時間と、内容がよく分からずで及び腰になっていた。

見てみると、砂漠の広大な映像が凄くてのめり込めた。史実が元になっていて、第一次世界大戦中、中東にやってきたロレンスというイギリス人の栄光と挫折が描かれる。

舞台と、英雄譚や、ナイフのチーフなど「デューン」にそっくりな箇所が多かった。少し違うのはロレンス(=ポール)の描き方で、本心が見えない変わり者の様に描かれている。元々考古学者だったが、地図作成の為にカイロに赴任し、なぜか独力で重要拠点アカバを占領した。この時、現地のアラブ人と協力し、不可能と言われた事を成し遂げた為、アラブ人やイギリスメディアに囃されて英雄視される。

後半は、調子に乗ったロレンスが、敵のトルコ兵に捕まり陵辱された事をきっかけに、精神がおかしくなっていく。本人は国に帰りたかったが、周りの期待との板挟みで葛藤する。そして、ダマスカス侵攻をきっかけにアラブ人国家の樹立を試みるが、アラブ人は部族同士のいがみ合いが収まらず失敗してしまう。

裏にはイギリスの三枚舌外交があったが、この大きな流れに逆らえず、ロレンスの心が折れる。帰りにバイクとすれ違うが、冒頭はロレンスはバイクに乗るところから始まった。思い返すと、結末を予見したかの様な円環的な描写になっていて、これもデューンで未来を見るポールに重なるし、「メッセージ」などヴィルヌーヴ的とも言える。

パレスチナ問題前夜とも言える内容で、特に今見るべき映画に思えたし、我ながらナイスタイミングで見れたなと思った。願わくは映画館の大スクリーンで見たい!
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