垂直落下式サミング

ストリートファイターの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ストリートファイター(1994年製作の映画)
4.2
「くにへかえるんだな。おまえにもかぞくがいるだろう…」

東南アジアの軍事国家シャドルーで独裁者のバイソン将軍が外国人を人質に取り、連合国軍側に200億ドルという法外な身代金を要求してきた。さらに、捕虜を実験台に恐るべき人間兵器の開発に動き出す。連合国のガイル大佐は、精鋭のファイターたちを引き連れ、果敢に敵陣に乗り込むのであった…。
オープニングがもう素晴らしい。独裁者バイソンとガイル大佐が、ジャーナリストのチュンリーが握るマイクとカメラを通じて、言葉を交わしやり取りをする。この疾走感。たまらねえっ!
大学生の頃、ゲーム好きの友達に「スト2の実写版さいこーだったよなっ!」というテンションで話してみたら、クソ実写化の代表みたいに言われて悲しかった思い出を胸に…。すげー評価低い。オメーら、ちょっと待てよ。大好きだったんじゃねえのかよ…!
まずもって、ガイルが主人公って時点で親指二本立ちじゃないですか。ロシアにはザンギがいて、インドにダルシムがいて、中国の代表は春麗ちゃん!そんで、我らが日本代表はエドモンド本田(は?)で、ブラジルにはブランカ(失礼だろ!)みたいな、各国の代表ひとりひとりにストーリーがあって、各々戦う理由があるのがアツいんじゃんかっ!つまり、アメリカハリウッドで映画化するんなら、そりゃあ主役はガイルで決まりってわけ!そうあるべきなんです!
ガイルを演じているのは、当時勢いに乗っていた肉体派ヴァンダム(ベルギー出身)ですから!サマーソルトキック二連発!ガイルの対空は、本来ソニックブームをかわそうとジャンプした相手を狩る技。↓ため↑+キック!ヴァンダムだから再現できたコマンド技をみれただけでよしとしませんか。
ヴァンダムのガイルめっちゃいいんだよな。大佐ぁ!ウチの隊はいつでも出撃できますぜっ!陸からですか?海からですか?みたいなマジで超中身のない会議してるのとか最高だし、その最中に暗殺者の襲撃を受けるも、まわし蹴りで瞬殺する若く身のこなしのいいヴァンダムを堪能。
セコい小悪党のリュウとケン。チュンリーの子分たち。科学の戦士ブランカ。眼帯のサガットからはドヤ街の匂い…。ザンギエフだけ完成度高い。脇役たちにも、見せ場がしっかりと与えられている。個人に肩入れしすぎずに、群像劇のスタイルで語ろうとする姿勢が好ましいところだ。
ベガのことバイソンって言うのが、どうしても違和感ある。シャドルー四天王は、日本と海外で名前がちがうのだ。ベガがバイソンで、バイソンがバルログで、バルログがベガで、サガットはサガットです。
バルログ(海外ではベガ)の出てくる違法ファイトクラブみたいなところのBGMは、カルメンのハバネラ!治安の悪さの表現としてはミスマッチさが異次元。しかもけっこう長い。
ベガ(海外ではバイソン)を演じたラウル・ジュリアは、この映画の撮影後に亡くなってしまい遺作となった。独裁者コーデお似合いでした。