2024年。「組みかえパズルじゃねぇんだよ!」と思わせる邦題に負けたので視聴。荒廃した未来、荒野に生きる姉妹は傷を負った育ての親ふたりの薬を得るべく、無線で繋がった旧友に接触する。しかしそれは姉妹の因縁の相手との出会いを生み、小規模で安上がりな戦いへとなだれこんで行くのだった……
アサイラムの映画を観て文句を言うのは野暮とされているが、それでもアナタ、といった出来だ。『マッドマックス』の2とか激怒道あたりをノミくらいのスケールにした激安便乗映画である。出演者はモブを含めて15名。車も改造などせず、乗用車にちょっと色塗ったり汚したり布をかけたりしただけ。服装も相当にお安い仕上がりである。
ロケーションは荒野と空き家、あと埼玉の山奥みたいな笹藪。砦とか基地なんてデカいもんはない。銃撃とか流血もほぼ全てCG、アクションなんてぇものはほぼナシ。チェイスも爆走もない。口論や会話や移動の合間に、ちょっとした争いが挟まる感じである。「あ~意識が低いな。低いぞこれは」としみじみ感じ入るものがあった。
人を狙撃する時もライフルなのに2メートルくらいに近づいてから撃つ。観ていて「近い!!!」と思わず叫んでしまった。しかし思わず叫ばせる映画なんてのは、クオリティはどうあれ凄い作品ではないだろうか。そうかな? 本当にそうかな?
ただ一切が過ぎて行きますといった内容ながら、何故か(本当に何故か)ご本家『マッドマックス2』そして『コマンドー』のバーノン・ウェルズが悪の親玉として出ており、人のよさを感じさせる。あと姉妹がけっこうクール。あとはまぁ……特に……ストーリーも引き伸ばしが猛烈だし……映像に見るものもなく……
なお「組みかえパズルかよ」と思わせた邦題であるが、原題は「Road Wars:Max Fury」なので、被害者も加害者もなく、本国と日本の共犯と言える。このタイトル、このジャケを確認してから借りたのなら、見終わった後で「うむ」と呑み込むしかない。そういう映画ですね。うむ。