「NYフィル初の女性団員」の切り口よりも、ひたむきに好きな事を仕事にして向き合った演奏家の引退というテーマの方が印象に残った。
彼女自身作中において「芸術家と言うには実力不足」と謙遜しておられるが、「プロの演奏家」としての姿勢がカメラにおさめられている。35分の尺の中に「プロのオーケストラコントラバス奏者」の肖像画がある。
さて、タイトルにもある「The Only Girl in Orchestra」の「The Only Girl」の部分は知識として知っている人、体験として知っている人、想像ができる人、知らないひと、体験したことがない人、想像が出来ない人でずいぶんと違う色にみえるのだろうと思った。
自分が圧倒的なマイノリティにおかれる経験は筆舌に尽くしがたいであろうし、オリン自身そこに着目してほしくなかったのではないのだろうか。監督が姪御さんでなければ、引き受けていたのかしら?
もちろん「女性初の」のタイトルも彼女の一部だが、彼女が記憶して欲しいのは「プロのコントラバス奏者」じゃないかな。
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