ビリー・ワイルダー、1950年。
デミ・ムーア主演の『サブスタンス』が楽しみなので助走です。
ほんと面白い。
鳴かず飛ばずの若い脚本家が、言ってみれば「事実は小説より奇なり」を体験し、それをモノローグで語って行く。この映画自体がリアリティを幾重にも内包していて、まあ凝ってる。
主演グロリア・スワンソンのチャップリンが楽しい。喋るサイレント映画を怪演。エリッヒ・フォン・シュトロハイムの存在感は画面の隅まで緊張感を行き渡らせる。
セシル・B・デミルやバスター・キートンまで引っ張り出し(蝋人形って!)、夢見るハリウッドの街とスタジオ、時代錯誤なお屋敷を舞台に、リアルとリアルとリアルの齟齬を重ねて行く。ストーリーはシンプルながら、いつの間にか巻き込まれる。
スタジオで監督椅子に座っているグロリア・スワンソンに、ぱーっと照明が当てられるところも良いですね。
何気ないところが印象的。
この映画の良いところは、悪人がいないところですね。執事のマックスにも愛情があって、そう言えばその後が心配になる。。