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サンセット大通りのadeamのレビュー・感想・評価

サンセット大通り(1950年製作の映画)
3.5
ビリー・ワイルダーが絶頂期に放ったハリウッドの光と影を描く名作。
同じく舞台裏の闇を扱って同年のオスカーを争った「イヴの総て」が、人を蹴落としてでも成り上がっていく人間の冷酷な恐ろしさと、去る人と来たる人との循環構造を描いているのに比べると、今作はモノクロからカラー、サイレントからトーキーへと移り変わる業界全体に押し寄せた時代のうねりの中で取り残されていった人々の悲哀をより大きな視点で見つめながら、それを1人の人物の狂気へと集約しています。
テレビが普及し始め、映画業界が変革を求められていた時代だからこそ、その流れを乗りこなせるか否かは当時の映画人にとって他人事ではないテーマだったのかもしれません。
哀しさと狂気が入り交じる壮絶なラストシーンの迫力は圧巻で、ラストカットでカメラへと伸ばされた手は、目新しいものへ飛びつく観客へと迫っているような気がしました。
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