ウォシ

名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)のウォシのレビュー・感想・評価

3.7
劇場版コナンを"一昔前の午後ローでやってそうな洋画アクション映画を日本アニメでやるシリーズ"という目線で観ているのですが、それで言うと個人的には「紺青の拳」以来のアタリ回かなと思ってます。
こうゆう見方って原作ファンからはすごく嫌われそうだけど…(そのせいか「紺青の拳」も世間の評価低めだし…)

ただやはり近年のコナン映画の傾向だけど原作知識が求められる。
メインとなる狙撃事件はとても面白かったけれど、原作キャラをたくさん出したいが為に登場キャラがやたら多く話も入り組んでメインの事件の印象が薄れたのが残念なところ。

今回の事件の肝って「憎い相手を客観視できるか?」になっていて、友人を殺された小五郎だったり復讐心を抱いた容疑者だったり犯人だったりと誰かを憎むキャラクターが多い。
その葛藤ドラマをベースに事件を追ってくれてたらすごく面白くなったように思うけど、やはり今の傾向的にその路線は求められてないのかな…

司法取引に絡む公安のゴタゴタと長野県警の人間関係にばかりスポットが当たってる感じがして、一つの映画として楽しみたい目線でいるともどかしくなる箇所が多かった。
特に公安は絡むと組織図だったり利害関係が複雑になって無茶苦茶飲み込みにくくなるからちょっと勘弁して欲しい…

点数の割に批判ばかりしてしまいましたが、ちゃんと面白かったです。
回を重ねる毎に端に追いやられてた小五郎をメインに据えた回という事でやや渋い雰囲気。
コナンを助けたり射撃の腕を発揮させたりと主にフィジカル面で奮闘し頼れるおっちゃんになってました。

だからこそ長野県警より小五郎の心情を軸に展開させて欲しかった…
焦る気持ちで突っ走る小五郎が事件の真相を知り犯人と対峙する事でかつて警官だった時の職務を思い出す…みたいにしたらよりハードボイルドで事件捜査ものとして面白くなるんじゃないかとも思いましたがどうですかね?

アクションは銃と爆破とカーチェイスがメインになり、前述の通り洋画アクション感強くて満足。
意外と近年のコナン映画では爆発を避けてた印象で、今回は銃弾一発で爆発するものが大量に出てきて景気良かったです笑

推理要素に関しては全くないです。
手ぶらの犯人がどうやって猟銃クラスの大きい弾丸を撃てたのかが唯一の推理どころなんだろうけど、そこはすごくどうでもいい感じでした。

過剰な原作ファン向け路線のコナン映画はたとえ面白くてもちょっとモヤモヤするところがあったが、今回はメインの事件が面白かっただけにいつも以上にもったいない!と思うところがありました。

あと場面を切り替える度にしつこく暗転する演出は嫌だったな…
あまりにもやり過ぎてて、このカットの作画間に合ってないのかな?とか映写機の故障?と思うほどでした。
ウォシ

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