このレビューはネタバレを含みます
本作はガンダム新シリーズの前日譚を劇場作品として上映したものである。
本編が始まってすぐ「なにこれ?」となった。何の前情報もなくファーストガンダムが始まったからだ。本編は前半がファーストガンダムを元にした前日譚、後半が新シリーズの導入という2部構成となっている。ただ、この映画の魅力と持ち味は圧倒的に前半パートにある。
新シリーズはまさにファーストガンダムに関連付けられた内容で始動していくのだと思われるが、本作前半の内容をテレビ本編では流さないであろうことを良いことに、ガンダムマニアの大人たちが好き勝手に作っている。当時の劇伴やBGM、カメラワークや脚本を徹底的に踏襲したそれらは良い意味での悪ふざけ感が存分に出ていて良い。その他にも、Zガンダム〜逆襲のシャア、OVAシリーズの要素も随所に盛り込まれており、連邦とジオンをめぐる歴史がギュッと濃縮されている。
また後半パートも含め、「ジオンが一年戦争に勝っていればその後の宇宙世紀はどうなったかな?」という仮定と世界観で作られており、これは今までのガンダムシリーズにはありそうで無かったストーリーである。ジオン公国統制下の宇宙とコロニー、そこに住まう人々、若き主人公がこれからどのような運命を辿るのかなど、新シリーズの導入としても面白く仕上がっている。ガンダムはしばらく視聴していないが、新シリーズを観ようかなとワクワクさせられる内容であった。