三四郎

男はつらいよ 寅次郎頑張れ!の三四郎のレビュー・感想・評価

4.6
なんと上品なお姉さん!泥臭くむさ苦しい感じの中村雅俊の姉役にしては気品が溢れすぎている。どうも私は長崎が舞台の話に弱い。映画にしても歌にしても、長崎は絵になるロマンチックな街だ。しかし寅さんは言いたい放題。「しかしつまんねぇところだなぁ、面白くもなんともありゃしねぇよ。お前それより早く元気になって東京出てこいよ、え?こんな島で一日中魚釣りなんてやったら、ダメになっちゃうぞ、あたま」「恩を仇で返すってことはあるけどもなぁ、こんな寂しい無人島にたった一人俺を残して、お前それで平気なのか?」寅さんだから許されるが、平戸と平戸に暮らす人々に失礼極まりない…。

中村雅俊が失恋したと思い込んで自殺しようとし、下宿中のとらやの2階が爆発するのには驚いた…。大迷惑な男だ、しかしとらやの人達はおそらく弁償請求してはいないだろう、傷心の中村雅俊を思いやり心配している。

それにしても本当にいい話だなぁ。寅さんシリーズの中では私にとって「翔んでる寅次郎」に次ぐ名作だ。一番好きなシーンは日曜の教会帰りのシーン。マドンナ藤村志保の言葉ひとつひとつが寅さんの恋、片想いに拍車をかけるのだが、マドンナはただただ素直に寅さんがこの島にまだ当分いてくれたらどんなに嬉しいかということが伝えたいのだ。しかしなんとも思わせぶりだ。「私はね、寅さん、口下手で…思うとることが上手く伝えられんばってん、寅さんが来てくれたことをどんなに感謝しているか…。これも神様のお引き合わせよ、きっと…」魅惑的な藤村志保。
クライマックス、弟に寅さんとの関係を指摘されて、恋愛感情なくただ寅さんを心優しくていい人と思っていた姉は「寅さんはね、あんたの考えてるよりもっともっと心の綺麗か人よ」と真剣に反論する。本当にただそう思っていたんだなぁ、上品なお姉さんは…。
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