ひでG

間違えられた男のひでGのレビュー・感想・評価

間違えられた男(1956年製作の映画)
3.8
「ヒッチコック/トリュフォー」で紹介させていて、未見だったので、見放題からチョイスしました。

冒頭、ヒッチコック自身にやる解説付き

「私の作品の中でも特に怖い話です。なぜなら、実話を元にしているからです!」  

観終わってから、じっくり思うと、 
非常に皮肉に富んだヒッチコックらしい
意味深い言葉だ。

私はミステリーばかり撮ってきた。
でも、それは、言わば「作り物=フィクション」なのである。

この世の中で、
「実話=ノンフィクション=実際の人物が起した、起きたこと」が最も怖いのである、という強いメッセージが込められているのであろう。

って、考えると、強く誇張されたミステリー描写は、本作ではあえて抑えて、
実話ベースのスタイルを貫いている。

連想したのが、周防監督作「それでもボクはやってない」だ。

無実の罪、思い込み、誤解

人はどうしても、その失敗をしてしまう!

「あの人のようだ」
「おの男に違いない」
「あいつに決まっている」と
トーンをどんどん上げてしまう。

本作では、主演のヘンリーフォンダが
見るからに、善良そのもののミュージシャンとして登場する。

かけられている疑惑とのあまりにもの
ギャップが痛ましい。

収監された時の彼の表情と彼の目線を追うカメラ、
当たり前のようなシーンだけど、実に丁寧に作られている。

「ヒッチコック/トリュフォー」で紹介された、善と悪が交錯するシーン、

先に解説を聴いてしまっているので、
「確かに、、」という印象だったが、

簡単に見えて、豊かな表現力なのだと思った。

奥さん役のヴェラ・マイルスが美しく、痛ましい
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