Yutaka

白夜 4K レストア版のYutakaのレビュー・感想・評価

白夜 4K レストア版(1971年製作の映画)
4.7
今のところブレッソンでベスト。ドストエフスキーの原作は未読だから、対比は出来ないけど、超良かった。奇跡のような映画。
ポンヌフ周辺で撮影された映像はまるで白昼夢のような脆さと美しさが備わっている。孤独な男のひと時の恍惚を描くには贅沢すぎる、残酷なほど美しいパリの夜。今回、音楽も沢山使われている事に驚いたが、それらは2人を祝福することは無く、寧ろ虚しく通り過ぎていく。いや、グルーヴを奏でる船がセーヌ川を通るシーンは素晴らしい事この上無いのだけど、それもそれで残酷なほど美しい事がそれとは裏腹の未来を予想させる。
諦念で始まり、諦念に終わる。ジャックは諦念に回帰する。そこが結局彼の居場所なのだ。愛の不在どころか、そもそもそんなものが存在していなかったかのように。
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