Yutakaさんの映画レビュー・感想・評価

Yutaka

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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

4.0

冒頭から超カッコいい劇伴とスタイリッシュなモノクロームの映像で、近年のノーランの作品とは全く違うテイスト。ブレッソンやヌーヴェルヴァーグ諸作品の影響をビンビンに感じた。それでも、時系列弄りまくってるの>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.6

やっと観れた。被爆国なのでソーシャルメディアでは否の意見が流れてくる事も少なくなかったけど、やっぱり凄かった。結局ノーランで外した事ないからね。
ノーランが撮った伝記映画といえば、『ソーシャルネットワ
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汚名(1946年製作の映画)

4.2

本作はヘイズコードを逆手にとって3秒以内のキスを繰り返す事で長時間のキスシーンの撮影に成功した事でも有名なので、もちろんメロドラマ要素が強く、前半30分弱はずっとメロドラマで正直退屈なのは否めない。然>>続きを読む

Girl/ガール(2018年製作の映画)

4.1

本作の監督ルーカス・ドンはグザヴィエ・ドランと比較されているらしいけど、これを見たらその意味がよく分かった。マイノリティの孤独と瓦解する感情の描き方はドランよりは控えめでアプローチは異なるけど、ポスト>>続きを読む

攻殻機動隊 新劇場版(2015年製作の映画)

4.0

ARISEは全体通してかなり出来が悪かったけど、その続編となるこの劇場版は結構面白かった。正直ARISEを観ずに今作だけ観れば良いと思う。
ARISEから描かれてきたクルツとの因縁と少佐の生い立ちが今
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フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996年製作の映画)

4.0

もちろん面白かった。なんで今更見てるんだろうって感じ。この映画のトリックは有名すぎて知っていたけどそれでも面白かった。前半の逃避行パートを割と丁寧に描いているのがフックになってる。それでも、オタク監督>>続きを読む

バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

5.0

ハーヴェイ・カイテルのベストアクト。どうかしてるほど面白い。モラルもクソも無い酒、女、ドラッグ、ギャンブル狂いのスーパー悪徳警官の破滅型コメディ。それでいて映画としてカッコよすぎるのが罪すぎる。こんな>>続きを読む

チャイニーズ・ブッキーを殺した男(1976年製作の映画)

4.8

完璧。カサヴェテスの良い所が存分に詰まった傑作。個人的には彼のフィルモグラフィーの中で大名作『ラヴ・ストリームス』の次に好きな作品となった。
フィルム・ノワールとは言えども、このジャンルに特有のニヒル
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攻殻機動隊ARISE PYROPHORIC CULT(2015年製作の映画)

2.0

ずっとファイアースターターを引っ張っているけど、バックグラウンドもよく分からないただの凄腕ハッカーっていう情報があるだけで何も引き込まれない。繋ぎのエピソードだけど普通に話がつまらなさすぎるし、犯人と>>続きを読む

攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone(2014年製作の映画)

3.3

今作特にめちゃくちゃ話が難解。プロセスは正直訳分からない。話の帰着点が攻殻機動隊シリーズらしかったので結果的には良かった感が出てるけど、S.A.C.シリーズは難解な話も分かるように上手く出来ていたので>>続きを読む

攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears(2014年製作の映画)

3.0

サイトーがキャラ変わり過ぎててビビる。今作は少佐のラブロマンスが軸の話になってて、ARISEならではの要素ではあるんだろうけど要らなさすぎた。いくら前日譚とは言え、キャラに合ってなさすぎて魅力激減。少>>続きを読む

攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers(2013年製作の映画)

3.5

1よりだいぶ面白かった。相変わらずシナリオは分かりにくいし、難解さが先行してしまっている感も否めないけど、アクションがS.A.C.シリーズより格段に進化していて、カーチェイスの迫力が凄い。
ついに9課
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攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain(2013年製作の映画)

3.0

9課のオリジンストーリー。声優もキャラクターデザインも一新しているので、前日譚ならではのワクワク感が無くなっちゃって残念。普通に少佐のビジュアルが大劣化で勿体なさすぎる。
前述の理由で物語にもあまり惹
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攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(2006年製作の映画)

4.0

S.A.C.シリーズは実存やアイデンティティに対する問いに加えて、現実の社会問題を揶揄する事が主軸に置かれていて総じてクオリティが高かったけど、この劇場版も同じく良い出来だった。今作は高齢化社会と少子>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

遂に来たPart 2。今作もPart 1と同様にクリフハンガーで終わるけど、単に序章であった前作と比べると満足感は段違いである。1人の青年が救世主、或いは信仰対象になるまでの壮大な叙事詩。これで中編な>>続きを読む

リバー・ランズ・スルー・イット(1992年製作の映画)

3.8

「宗教とフライフィッシングの間に、はっきりとした境界線は無かった」冒頭のこの台詞がこの映画を端的に表している。モンタナの緑豊かな木々とその間を流れる川のせせらぎ。そこに生きた自分の人生を回顧する老人に>>続きを読む

お熱いのがお好き(1959年製作の映画)

3.4

最近マリリン・モンローに縁のあるカフェに行ったのでこの機会に観てみた。初めてスクリーン上で観てみて、オードリー・ヘップバーンを観た時とは違う美の衝撃を受けた。言うならば、当時の時代に現代のエロいブロン>>続きを読む

フレンチ・コネクション(1971年製作の映画)

4.1

先日観た『サムライ』の影響を受けながら、そこにニューシネマ特有の泥臭さのエッセンスを足されていて、フリードキン独自のリアリティが出現していた。特に直接的なオマージュでもあろう電車での駆け引きは、本家を>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.8

『アトランタ』のような角度から、黒人のポップカルチャーとその消費構造を風刺した抜群にシニカルな快作。一般化して擁護する事に潜む無邪気な加害性や、正義を振りかざす名前のない私刑執行人が横行する社会、そし>>続きを読む

サムライ(1967年製作の映画)

4.2

この世で最もカッコいい映画と言われても納得出来る。映画を通してメルヴィルの美学が一本の弦のように張られている。オープニングからベッドでタバコを吸い、煙だけがモクモクと揺蕩うシーンでウットリしてしまう。>>続きを読む

デンジャラス・プリズン ー牢獄の処刑人ー(2017年製作の映画)

5.0

暴力暴力暴力。これは美しき暴力賛美。ザラーの映画はこれで全部見たけど圧倒的に好きだった。久しぶりに暴力映画を見て、映画におけるバイオレンスの快楽の重要性を久々に痛感した。この冷たい暴力を演出できるのは>>続きを読む

エンパイア レコード(1995年製作の映画)

3.5

セットや撮影が90年代シットコムすぎて笑った。ずっとエンパイアレコードの建物内で繰り広げられるドタバタが愛おしい。ジャケットはお洒落だし衣装も可愛いけど劇中曲は大したこと無いから、今そこまでサブカル消>>続きを読む

タンジェリン(2015年製作の映画)

4.4

全編iPhoneのみの撮影っていうのがまず画期的で、その見慣れた映像によって彼女達の"日常"とこちら側の日常がシンクロする。レフンのプッシャーシリーズのようなドライブ感がラストに向かってずっと続く。そ>>続きを読む

ボトムス ~最底で最強?な私たち~(2023年製作の映画)

3.6

この時代における下品なコメディの最適解。まさに現代版『ヘザース』。とにかく滅茶苦茶でここまで振り切ってると面白い。
音楽もCharli XCXが手掛けてて最高にポップ。ComplicatedとPart
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.5

この語り口は流石に凄すぎた。フェミニズム映画の金字塔であり、20s社会の指針として語り継がれていくであろう傑作。
パリス・ヒルトンやブリトニーなど男性社会に消費されたゼロ年代のポップ・ミュージックを敢
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リオ・ブラボー(1959年製作の映画)

3.7

赤狩りが始まりハリウッド全体に暗いムードが漂う中、映画自体もその雰囲気を反映しだした時代。そんな中、ハワード・ホークスとジョン・ウェインが古き良き西部劇を復活させようと試みた西部劇リバイバルとも言える>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

5.0

数少ない作品の中で奇跡を起こしてきたビクトル・エリセが今度も奇跡を起こした。映画そのものが奇跡を起こす事はあっても、今作のように映画で奇跡を起こす事を恣意的に求めて実際に奇跡が起きる事例は見た事がない>>続きを読む

エル・スール(1982年製作の映画)

4.5

ビクトル・エリセの構想では「南」についても語る予定が予算の都合で語る「南」へ行く前で終わっているので本人的には未完の作品となったが、奇しくもその偶発性によって余白を持たせた素晴らしいラストになっていた>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.5

凄い映画なんだけど、自分は苦手な作品だった。今作のジャン・ピエール・ジュネとキューブリックを足して2で割ったようなヨルゴス・ランティモス独特の世界観の構築は見事としか言いようが無いけど、フェミニズムの>>続きを読む

マーベルズ(2023年製作の映画)

3.9

全然期待してなかったけど結構良かった。ドラマで全然良い方向に向いてなかったミズ・マーベルの良さが抜群に出てる。3人の掛け合いの要になってて良い。コメディ要素も滑ることなくハマってて往年のMCUを見てる>>続きを読む

ロスト・リバー(2014年製作の映画)

2.8

中盤までは中々良い感じだと思ったけどシナリオが酷すぎ。でも画はずっと好きなのは、ライアン・ゴズリングがバチバチにレフンに影響を受けたから当たり前。ネオン使いまくっる所とか不条理な会話、変な歌とダンスだ>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

5.0

初めて映画館で、しかもIMAXで鑑賞。ありがとうA24。何回見てもラストの「Crosseyed and Painless」が凄すぎて鳥肌。トリでここまで爆発させるのは建築式ライブとして完璧。建築途中も>>続きを読む

ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カット(1969年製作の映画)

4.3

西部劇に宿っていたヒロイズム的な神話を完全に解体した点で余りにも偉大。これに関してはセルジオ・レオーネが既にクリント・イーストウッドとやっているけど、ここまで完膚なきまでに白人男性を野蛮に下劣に描き切>>続きを読む

ダーティハリー(1971年製作の映画)

4.2

その後のシリーズを観てないから分からないけど、シリーズになって陳腐化するには余りに勿体ないほど激シブで超カッコいい映画だった。悲劇という観点を抜きにすると、他のアメリカン・ニューシネマと比較しても今作>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.7

『哀れなるものたち』の前に観ておこうと思って観た。個人的にはそこまで好きな作品では無かったが、凄い作品ではあった。
『ロブスター』でも思ったけど、ヨルゴス・ランティモスの凄みはその独自性にある。本作も
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.6

どこまでも愛おしすぎる映画で、平山に自分自身を投影するのは自分に限ったことでは無いだろう。内界と外界が衝突し、外界から逃げる男。平山の場合はそれが家族だったのだろう。ただ、内界に閉じこもるという訳では>>続きを読む

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