冒頭からそうであるように色々なシーンで画面外から何かがぬるっと入り込むのが印象的。
私刑シーンの影の使い方も素晴らしい。一瞬不気味に映り込む吊り縄の影の禍々しさ！
その後のシーン移行も最高すぎる。
彼が戻ってきたとヴィヴェカ・リンドフォースが言った後に暴走する牛の足元からのショットに繋がれるのもたまらない。
ウォード・ボンドがジョセフ・コットンに決闘を挑むシーンで中々切り返さず、馬がどこかに行ってしまうほどジリジリとウォード・ボンドを捉え続ける。その後も草越しに二人を撮ったりしていて異様なシーン。

二階建てという珍しい構造の保安官事務所にクリストファー・ダークをリンチしようと民衆が押し寄せる場面が超絶。ワード・ボンドが一階のドアを開けた瞬間に映る影、階段を駆け上がる足、画面外からジョゼフ・コットンらを捕える投縄、ダークを掴む腕等、匿名性が暴力を加速させる。

コットンが画面外から警告し、ビル・ウィリアムズを停止させる画面連鎖(後半のワード・ボンドの時も同様)は『テキサスの死闘』の冒頭でそのまま反復。クリストファー・ダークのリンチ死体を発見する一家を捉えたロングショットはコットンの決別に至るワンカットの演技の直後にも同一アングルで示されるが、二回目は離別に相応しい距離感がしっかり視覚化されていて素晴らしい。

リア王的なモチーフに『燃える平原児』などに見られる混血のイメージを混ぜ合わせた傑作。ルイス独特の簡潔な長回しによる語りが悲劇性を高めている。頻出するオフから銃を構えた人物が入ってくる演出も、クライマックスのジョセフ・コットンとワード・ボンドの一騎打ちでは、コットンのショットを溜めに溜めて、ボンドの引きのショットにオフから物が投げ込まれたり、コットンの声だけが妙に響く形で聞こえてきたりと物凄く恐怖を煽る形で入ってくる。白眉はベッツィ・ブレアの恋人がリンチに合い木に吊るされて殺されるところまでの一連のショット群。西部劇にしては個人的にはあまり見たことないフィルム・ノワール的な回想から物語が紡がれていくのも珍しく思える。