Melko

アズールとアスマールのMelkoのレビュー・感想・評価

アズールとアスマール(2006年製作の映画)
3.7
めくるめく色彩と冒険、そして兄弟愛。

水彩画を想像してたので、予想よりもうんとカクカクしたちょっと独特の人物デザインで、キャラ描写が3Dと2Dの間みたいになっており、冒頭はちょっと拍子抜けしたが、すぐにそれも気にならなくなる。
圧倒的な色の数。

同じ女性から片方ずつ乳をもらい育った、まさに乳母兄弟のアズールとアズマール。
金髪青い目で白い肌のアズール
黒髪黒い目で茶色い肌のアズマール。
お互い、母がおらず父がおらず、仲は良いけどやんちゃ盛りで喧嘩ばかり。それでも、片方が困っていれば、片方が手を貸し助ける間柄。
名家の息子アズール、そんな彼に悪影響だからと、アズールの父は、アズマールと乳母を荷物も何も持たせず身一つで追放する。それから何年か後。
かつて乳母が語り聞かせてくれた「ジンの妖精」の話を信じ、アズールは故郷を飛び出し船に乗る。難破でたどり着いた国は、アズマールと乳母が住む国であった…

そこまで何不自由なく暮らしていたアズールが、異国において、自身の青い瞳にまつわる迷信のせいで人々から煙たがられ無一文になり街を彷徨う。苦肉の策の「盲人」のフリ。
苦労の末、かつての乳母を見つけ、頼りたいアズール。慣れない盲人のフリで無茶をし、香辛料を頭からバッサリかぶり金髪が隠れ、おまけに目を瞑っているせいでアズールとわからない乳母。「わたしの息子は、盲人ではない」とあしらおうとする乳母に対し、閉じていた両目をカッ!と開く場面はちょっと鳥肌。

自分と母にされた仕打ちを根に持ち、アズールに辛く当たるアズマール。
2人は、良い大人になっても信じていた。
「ジンの妖精」のことを。

旅路が始まるまでが長く、あんなに待った旅路は案外サクサク進み、あっというまにラスト。冒険が肝ではなかった。
自分が絶対に!という気持ちではなく、助けてくれた人を見捨てないこと、恩を忘れないこと。
その心持ちの美しさがテーマだった。

結婚相手を決めるまでがやたら長い。笑
取ってつけたようなチャンチャン♪なラスト。まぁでもハッピーだから良し。

ジンの妖精のキラッキラの宮殿は、一見の価値あり。
日本語吹き替え/オリジナル音声迷った挙句、フランス語オリジナル音声で鑑賞。
字幕を追っても目が疲れないゆったり進行で助かった。
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