エアール

ロスト・アイズのエアールのレビュー・感想・評価

ロスト・アイズ(2010年製作の映画)
3.8
緻密な伏線、
恐怖と切なさを絶妙なバランスで織り交ぜたストーリー、
引き込まれる構成、
工夫を凝らした演出、と…
あらゆる面でお見事でした。
ラストのむかえ方は特にお気に入りで
非常に印象深いシーンとなってます。

ギュリェム・モラレス監督 × ギレルモ・デル・トロ製作 × ギレルモが携わる作品には常連の女優さん、ベレン・ルエダが主演
ーー双子の姉妹を一人二役で演じ切ってます、芝居が上手くて個人的にお気に入りの女優さんです。


病気を患う双子の姉妹、姉のサラと妹のフリア
ーー進行性の視力低下、後には失明に至る。
姉の方は進行が早く1年前に失明してしまう。
失明から回復できる可能性がある、とドナー待ちを経てここ最近に角膜移植手術を受けたサラ。

そんなある日
手術を終えて然程期間が経っていないにも関わず
サラの首吊り遺体が自宅の地下室で発見される。
半年ぶりの姉との再会がまさかこんな形になろうとは
ーー遺書はなく、サラ以外の人間が現場にいたことを示す痕跡もなし、
他 物音や不審者の報告もないため
警察は自殺で処理しようとするのだが
フリアはサラの死に疑問を抱く
ーー単なる自殺ではなく、他殺ではないだろうかと…。

手術を受けたが結果は失敗に終わり
失明から逃れることはできなかった、現実が受け入れられず自殺へ…
ーー納得のいかないフリアは
独自の調査を進めていく…。
するとサラには恋人と呼べる相手がいたことが分かるのだが
奇妙なことに誰もその相手を見たことがないという
ーーサラの恋人は”見えない男”であった。

ストレスによるものか、フリアの目も悪化が進み次第に視界から光が失われていく。
それと同時にフリアの周りにも謎の影、何者かの存在がチラつくように…。
一体何が起きているのか、次々と死人も出始める中
少しずつ、でも確実にフリアの身に危険が迫る…。


イサク
・・フリアの夫。
フリアの力になろうと彼女を支える。
がどうやらフリアに隠し事をしているよう。

ディマス
・・サラの一件を担当する警部。

ブラスコ
・・サラ宅の隣家に住む、隣人さん。
娘のリアと2人で暮らすも、孤独を感じている。

リア
・・ブラスコの娘で、内気な性格。
サラとは本の貸し借りをし合う親しい関係だったようで、サラのことが大好きであった。だから余計にサラの首吊りの件でショックを受ける。
フリアに危険が迫っているのを察知し力になろうとするが…。

ソレダド
・・サラ宅の近所に独りで住む老婦人。
サラが失明した際に面倒を見てくれたよう。
彼女もまた失明しており、それが原因で夫に捨てられ、
その後は息子のアンヘルが10年面倒を見てくれたが、息子も夫同様去ってしまう。

アンヘル
・・ソレダドの息子。
父親が去ったあと失明した母親の身の回りの世話をするが
ある日突然母のもとを去る。

バウマンセンター
・・盲人福祉センターで、盲人の社会活動を支援している。
サラもこのセンターに通っていたようで
サラの恋人の存在もこのセンターの若い人たちから、本人の口から聞いた、と聞かされる。

ベリャビスタのホテルロメオ
・・サラが恋人と1週間宿泊したホテル。

クレスプロ
・・ホテルロメオで働く老いた使用人。
サラが恋人と宿泊した際に
部屋に鍵の忘れ物をしたようで、その鍵をフリアに渡す。

ロマン医師
・・サラ、フリアの目を診る担当医。

イバン
・・看護人。フリアの目もいよいよ悪化しサラと同じよう手術を受けることに。
術後、目にはしばらく包帯が巻かれた状態で過ごすことになりその間の自宅看護を任される。


さて
”恐怖”がどんなものか、お前は知りもしないくせに。
”恐怖”というものを少しも分かってないんだよ。
無視されたり、拒絶される恐怖を。

闇に追いやられ別の世界に身を潜める。
誰からも見られず自分の足音が響くだけ。
いつも同じ服で、
声はあるが、ないも同然。
目もあるが、ないも同然。
やがて影のような存在になってしまう。
だがある日知った、
盲人は俺に気づいている。
俺が呼吸しまだ生きていることを。
これぞ完璧な組み合わせなんだ
ーー盲人と俺、そうでなくてはならない。

さあ、どう思いますか?
行動についてはひとまず置いておいて
”俺”は悪人ですかね??
エアール

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