千年女優

猿の惑星・征服の千年女優のレビュー・感想・評価

猿の惑星・征服(1972年製作の映画)
3.5
未来から訪れた進化した猿人コーネリアスとジーラの息子で、両親の殺害後謎のウイルス蔓延で死滅した犬や猫の代わりに猿が人間のペットとなる世界でサーカス経営のアーマンドに匿われて過ごすマイロ。同胞の扱いに忸怩たる思いを募らせる彼が、生き残りを疑うNY知事に捉えられて「シーザー」の名で反乱を起こす様を描いたSF映画です。

SF映画のマスターピースのひとつとなった第一作の再現を狙うも二匹目のドジョウは難しく、それでも一定の興収が狙えることから制作されたシリーズの第三段で、製作アーサー・P・ジェイコブスの伝手で監督を志願したJ・リー・トンプソンが、続投したポール・デーンの脚本を映画化して賛否は分かれるも1000万ドル近い興収を記録しました。

人種間対立を描くという本来のテーマに立ち返った物語で、公民権運動後とはいえまだ有色人種への差別が色濃く残り、動物実験への批判も聞こえ始めた1970年代アメリカの現状を寓話化します。世界規模の「革命」を描くには映像と物語の両面でスケールで不足感を感じるところはありますが、深刻なテーマに対して実直に取り組む一作です。
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