ぐり

天国の日々 4Kのぐりのレビュー・感想・評価

天国の日々 4K(1978年製作の映画)
3.4
夕景が美しく
光と影に見惚れた
画角も絵画的
背景と人物の収め方が最高
農作業の合間で遊ぶ彼らや、農場主の家の離れなど、ただ美しい

この作品での見せ場でもあるマジックアワーが本当に美しく
特に、火事のあとの農場で、影になる人々の映像は格別だった


物語の冒頭、工場でのケンカのシーン
工場の様々な音にかき消され、争っていることはわかるが、何を言っているのかはわからない
セリフではなく、映像で伝えてくる
始まりからとても惹き込まれた
スクリーンに集中させられる
楽しい

そして、シカゴを出て汽車に乗って次の土地を目指す3人
広い空と自然の中を走り抜ける汽車がとてもかっこよくて
これから行く土地での高まる期待が伝わった


ビル、リンダ、アビー、農場主、リンダと仲良くなる女性、それぞれの気持ちが言葉少なに伝わる作品だった

ビルは随分と自分勝手だなとは思う
工場ではカッとなって喧嘩したり、アビーがいるのに農場で出会った女性にちょっかい出したり、アビーを農場主と結婚させたり
リンダを置いて農場を出て行ったり、急に戻ってきたり
バッドランズのキットもそうだったな

アビーは、ビルから農場主と結婚するように説得されたとき、今まで何度か金持ちに誘われたけれども、自分で生きてきたというようなことを言っていた
それなのにビルにそんなことを言われて、どんな気持ちだったのだろう
悲しかったのか、悔しかったのか

リンダは農場で出会ったあの女性のことが本当に好きだったのだろう
きっとアビーよりも
でも、ビルがアビーを好きであることも理解していて、農場に留まることが安定した生活の獲得につながってビルにとっても良いことだと納得していたようだった
仲良くなったあの女性が汽車に乗り込むとき、リンダは後を追っていた
孤児院?から抜け出したあと、友達と歩いているとき、農場でのあの女性がやっていたように側転をして見せていた
リンダのなかに、農場でのあの女性がずっといたのかも知れない


しかし、やはり
物語うんぬんよりも、映像の美しさが本当に際立つ
バッタの大量発生のシーンも圧巻だし
火事のシーンの迫力もすごい
そしてやはり光と影
美しかった
ぐり

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