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1975年のケルン・コンサート

1975年のケルン・コンサートの作品紹介

1975年のケルン・コンサートのあらすじ

ドイツ・ケルンに住む高校生ヴェラ・ブランデスは、音楽好きでナイト・クラビングも大好き。厳格な歯科医の父親への反抗心もあり、ふとしたきっかけで来独ミュージシャンのツアーをブッキングするバイトを始めることになる。仲間たちの協力を得ながら、持ち前のバイタリティを発揮して仕事が軌道に乗り始めた頃、ベルリンのジャズ・フェスティバルに出向いた彼女は、アメリカの天才ピアニスト キース・ジャレットの演奏を聴き、雷に打たれるほどの衝撃を受け、キースのケルン公演の開催を決意する。いくつもの困難を乗り越えて当日を迎えが、キースの希望していたものではない違う種類のピアノが用意されており、キースは演奏を拒否。開演時間が迫りくる中、ヴェラは……。

1975年のケルン・コンサートの監督

イド・フルーク

原題
Köln 75
公式サイト
https://www.zaziefilms.com/koln75/
製作年
2025年
製作国・地域
ドイツポーランドベルギー
上映時間
116分
ジャンル
ドラマ音楽
配給会社
ザジフィルムズ

『1975年のケルン・コンサート』に投稿された感想・評価

kuu
3.8
『1975年のケルン・コンサート』
原題または英題 Köln 75
製作年 2025年。上映時間 116分
映倫区分 PG12
製作国 ドイツ・ポーランド・ベルギー合作

1975年1月24日、ケルン・オペラハウス。この夜を巡る物語において、主役を演じるジョン・マガロの風貌は個人的にはなりますが、当時のキース・ジャレットに瓜二つかななんて思いました。
スクリーンに登場するだけで観客を惹きつける圧倒的な実在感を放ってました。
言葉数が少なく感情を露わにしない役柄ながら、背中の痛みや寝不足、そして、用意された劣悪な楽器への絶望といった内面の揺れってとこを、抑制の効いた芝居で静かに表現するその佇まいってのは巧みでした。
この欠陥だらけの状況こそ、今作品における最大のメタファーと云えるかな。
鳴らない高音域を避け、響かない低音を補うために、彼は中音域でのリズミカルな反復と、床を激しく踏み鳴らすビートを編み出した。
これは、人間が逃れられない肉体的な制限を、創造性によっていかに突破できるかという普遍的な問いへの答えとなってるのじゃないかな。

​この奇跡の裏側で、もう一人の重要なキャストである当時18歳の実在の女性プロモーター、ヴェラ・ブランデスを演じたマラ・エムデの演技は見逃せない。
彼女は、エネルギッシュでダイナミック、そして不屈の精神を持って不可能を可能にしようとする若き情熱を鮮やかに表現しています。
しかし、その一方で、彼女のキャラ設定が夢を追う熱血プロモーターって枠に収まりすぎており、やや記号的すぎるという印象も拭えないかな。
特に、伝説のアーティストを相手にするにしては、ヴェラの振る舞いに見え隠れする幼さに対しては、歴史的な背景を知る者ほどリアリティの欠如や違和感を覚えるかもしれません。

​映画の本質は、コンサートそのものやなく、実現に至るまでの舞台裏(足場)を描くことに焦点を当てているためか、実際の演奏シーンは残念ながらごく僅か。
物語の核心であるはずの伝説の演奏音源が作中で一切流れないという選択は、ある種の第4の壁を破る演出とも云えるけど、期待していた観客には強い違和感を与えるかもしれません。
さらに、作中で音楽評論家のマイケル・ワッツらが観客に向かって直接ジャズの歴史や背景を解説する手法については、一部で説明的すぎる、没入感を削ぐ、なんても上がっている。
こうした演出は、神話化された奇跡をあえて解体しようとする試みかもしれないが、純粋に音の世界へ没入したい者にとっては、思考を遮断されるノイズになりかねない危うさを孕んでる。
※余談ですが『第4の壁』とは、舞台や映画の登場人物が、現実の観客に向かって直接語りかけたり、視線を送ったりすることで『フィクションの世界』と『現実の世界』の境界線を突き破る演出手法。今作品では音楽評論家が観客にジャズの背景を解説するシーンなどがこれにあたり、没入感を高めるか、あるいは削ぐかの評価が分かれるポイントとなってます。

​即興演奏って云う性質上、本来この物語の本質にはリテイクも編集も存在しない。
映像の中にマガロが体現する抑制された苦悩と、マーラ・エムデが示すダイナミズムを追うことで、当時の会場の張り詰めた空気や深夜の静寂を追体験することができたが、これは絶望的な状況を不朽の地図へと書き換えたドラマであり、50年以上前のドイツの深夜に立ち会い、一人の人間が暗闇の中で光を掴み取る瞬間を、音のない静寂の中にさえ目撃することになる。
最後の一音が消えた後に訪れる静寂こそが真のクライマックスであり、表現の足場を積み上げた者だけが到達できる、純粋な空白がそこには広がっています。
伝説の音源が流れないって云う異例の構成ながら、不可能な状況を覆していくヴェラの情熱と、極限状態で鍵盤に向かうキースの緊張感には、音楽そのものに匹敵するドラマがありました。

​結末を知っていてもなお、土壇場でのピアノトラブルや雨の中の説得シーンには手に汗握り、最後の一音が鳴り出す直前の静寂には、えも云われぬ高揚感をおぼえました。
あの音が生まれるまでの泥臭い舞台裏を知ることで、いつもの名盤がより一層輝きを増して聴こえるような、そんな鑑賞体験として、個人的には楽しめた。


解説・あらすじ。
世界的ジャズピアニストのキース・ジャレットが1975年1月24日にドイツのケルン歌劇場で行ったコンサートの開催までの舞台裏を、当時18歳だった女性プロモーターを主人公に描いた音楽青春映画。

ドイツ・ケルンに住む音楽好きの高校生ヴェラ・ブランデスは、厳格な父親への反抗心もあり、来独ミュージシャンのツアーをブッキングするアルバイトを始める。持ち前のバイタリティを発揮して仕事が軌道に乗り始めた頃、ベルリンのジャズ・フェスティバルに出向いた彼女は、アメリカの天才ピアニスト、キース・ジャレットの演奏に衝撃を受ける。キースのケルン公演を実現させようと決意した彼女は、幾多の困難を乗り越えてコンサート開催に漕ぎつけるが、当日、キースの希望していたピアノとは異なる種類のピアノが用意されるというトラブルが発生する。開演時間が迫る中、キースは演奏を拒否し、コンサート開催が危ぶまれるが……。 

ライブアルバムの名盤「ケルン・コンサート」としても知られる伝説的なコンサートが、開催中止寸前のトラブルに見舞われるも、弱冠18歳の女性プロモーターの機転と行動力で実現したという、知る人ぞ知る実話を史実に基づき映画化。

ドイツの新鋭マラ・エムデがヴェラ役を演じ、キース・ジャレット役を「ファースト・カウ」「パスト ライブス 再会」などで知られるジョン・マガロが演じた。』
【ジャズ道一直線】

孤高のピアニスト、キース・ジャレット。
彼が1975年に行い、のちにライブアルバム「ケルン・コンサート」として発表されたコンサートをめぐる実話を基にしています。

来独ミュージシャンのツアーブッキングをする音楽大好きJKヴェラ。
ヨーロッパを車で回って毎回完全アドリブ演奏をする天才KJキース。
元気溌剌乙女と、思索黙考鋼琴家が対照的に描かれ、ラストで二人のジャズ愛がスパークします。

ジャズ史を俯瞰するような音楽映画であり、
音楽そのものを求道するジャジーな映画でもある。

キース・ジャレットを演じるジョン・マガロ(「マネー・ショート華麗なる大逆転」「ファースト・カウ」「「パスト ライブス/再会「セプテンバー5」)などの演奏シーンはベルリンのジャズフェスだけで、
肝心のケルン・コンサートをバックに流れる曲が、ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」とニーナ・シモン「To Love Somebody」というのも、なんだかジャジーです。

実話ベースの音楽映画です。

原題:Köln 75

1975年1月24日、ケルン歌劇場でキース・ジャレットのコンサートが開かれました。

ここで集録されたソロピアノ即興演奏は、『ザ・ケルン・コンサート』としてリリースされ、世界的ベストセラーとなりました。

確かに名盤です。

とても即興と思えません。


今作は、その伝説的コンサートの裏側が描かれてます。

18歳のかけだしプロモーターが主人公。

コンサートが開催中止寸前まで追い込まれながら彼女の行動力によって実現されました。

ただ、彼女の行動力の源泉は、NHKの朝ドラのヒロインのような爽やかなものではなく、色んな感情や葛藤がエネルギーになったもの。

感情移入しにくい人物として設定されてました。

そこがおもしろかったです。


なんといっても、コンサート当日が最悪。

舞台には、
キースの指定したピアノと異なるものがセッティングされていました。

しかも調律がされてないピアノ。

打ち合わせ段階で、キースは演奏を拒否しました。

電話をかけまくってやっと指定のピアノは見つかったものの、その楽器は移動できない有り様。

タイムリミットまで数時間しかない。

なのに、チケットは完売。

主人公はこのピンチをどう切り抜けたんでしょうか?


このメインのエピソードもおもしろかったですけれど、キース・ジャレッドほど人物が貧乏旅行してたというのにもびっくりしましたね。

飛行機代は当然出ているのに、チケット代を浮かせるために車で長距離移動していたという。

アメリカでは、ジャズが廃れ始まており、大物ミュージシャンでも苦労していた現実があっという話。

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