くるぶし

グッドモーニング、ベトナムのくるぶしのレビュー・感想・評価

4.1
ベトナム戦争下、現地の米兵向けラジオのカリスマパーソナリティを中心に戦争の虚しさを生々しく描いた今作。実話をベースとしている。
ラジオ好きとしても、平和を願う一人間としても刺さった。2022年2月26日の今日だからこそ。

ベトナム戦争を描いた作品は数あれどここまで一般人に近いミクロの視点から生々しく描いた作品はそうないだろう。
戦線の映像はほとんどない。米兵と現地人の交流やラジオで過激なジョークを飛ばす映像がほとんど。戦時中の日常がよく見える。
しかしそんな日常は凄惨な真実から情報検閲の名のもと、遠ざけられていたために守られてしまっていた。
映像であまり直接的には描かれないが、物語が進むにつれそれが崩壊していく様子が生々しくなんとも虚しく哀しい気持ちにさせる。

ここ数日のニュースに心を苦しめられている。そんな中この映画を通して今日の戦争に対して解像度が増した。
ウクライナの人々の命が脅かされている現状を看過できない。しかしロシア軍の兵士たちも個人の意思を剥奪され侵攻してしまっているのが現実だろう。
情報統制によってこのニュースすら正しく届かない人々も数多くいる。
上の無責任とも思える判断で何人もの人々が犠牲になっている。
ウクライナ市民、ロシア軍兵士にこれ以上犠牲者が出ないよう、1秒でも早い平和的解決を切に願う。
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