【あらすじ】
主人公のソン・ミンチャン牧師は、妻の浮気や、協会内での地位が上がらないことなど、多くの悩みを抱えている。ある日、礼拝に来た見知らぬ男性を勧誘する。帰り際、彼の足首に電子足輪が付けられており、前科犯罪者のクォン・ヤンレという人物だと知る。その後、妻が同窓会で遅くなり子供を迎えに行かなければいけなかったのだが、すっぽかしてしまう。急いで迎えに行こうとするが、「見知らぬ男性が連れて行った」という。ヤンレに違いないと思ったソン牧師は、彼を尾行し、思わず崖から突き落としてしまう。結局子供は、友達の父親が預かっていただけだった。その後、他の牧師の不祥事がきっかけで昇進を果たしたソン牧師は、神の啓示を信じるようになる。一方でヤンレが行方不明になったことを知り警察は捜査を開始する。その中には、かつてヤンレの被害に遭った女性の姉であるヨンヒ刑事がいて、ソン牧師を捜査するようになり…、というストーリー。
【感想】
「罪と罰」というのが一つのテーマとなっている。ありがちではあるが、決して陳腐な出来になっていないのが秀逸。また回収されないままと思われた伏線(行方不明になった信徒の女性)が最後にきちんと回収された点も見事。警察を中心にストーリーを進めると事件物・解決物(犯人を追い詰めていく様を描く)になってしまうが、ソン牧師とヤンレを中心に描くことで、そうはならず、人間ドラマの雰囲気を高めているのも、個人的に好きだった。不思議とまた観たくなる一作。『地獄が呼んでいる』と同じヨン・サンホ監督の作品で、宗教を扱っている点も同じ。雰囲気もどことなく似ているので、同作品が好きであればおすすめ。