【この顔にピンときたら110番】
そんな人たちを集めてる。
キャスティングという域を越えている、
まさにカウンターアタック。
アクションシーンは荒削り、
シナリオも計算し尽くされたものとは言いがたい。
予算に関しても決して潤沢ではないだろうと推測できる。
しかし、
この映画の中には、
低予算ながらもいかにして面白く撮影するかという意欲が随所に表れており、
大作映画が省略しがちな小さな工夫やアイデアが豊富に詰まっている。
メキシコ映画界でいうと、
キュアロン、
デル・トロ、
イニャリトゥといった監督たちが、
初期の低予算作品でやっていたように、
本作も予算に限りがある中で、
ユニークな映像表現や演出が光る。
限られたリソースをどれだけ有効に活用できるかという点が、
この作品の魅力のひとつだと言える。
たとえば、
登場人物の配置や車両の並べ方、
銃撃戦の俯瞰のみせ方、
組織の分厚さを見せる手法においても、非常に工夫が見られる。
他には、
手りゅう弾の爆発シーン、
白煙と炎のバランスをどう取るか、
VFXと実際の炎の素材撮影をどのように組み合わせるかといった選択肢においても、
観客に与えるインパクトを最大化するための試行錯誤が感じられる。
特に、炎の大きさや描写のリアルさが、
どこまでリアリティを維持し、
視覚的に引き込むかという点で力を入れていることが伝わる。
各シークエンスのカッティング手法も独特の工夫が見られ、
使い古された方法をあえて有効に使おうとする試みが印象的だ。
カット順がストーリー性よりもインパクトを重視した形になっており、
123の順番か、231の順番か、
視覚的な衝撃が、
セリフの順列や展開よりも優先されることがしばしばある。
こうした選択、試行錯誤は、確実に映画全体の熱量を高めている。
どこか荒削りではあるものの、
そのエネルギーが観客に届くからこそ、この映画には強い魅力がある。
もし、このプロジェクトを手がけた監督やプロデューサーが次回作を作る機会を得たなら、彼らは予算が増加した場合でも、その分をどのように適材適所に振り分け、
マクロからミクロまで効果的に予算を活用するかを知っているだろう。
次回作にも、きっと今回以上の興奮と満足をもたらしてくれるに違いない。