#51
いったい何の意味があるのかといいたくなる、凝りすぎの演出。
ニクラウスがオウムなのはまだよかったが、アントニアが歌手でなく、バレリーナなのは、歌詞とヴィジュアルが一致せず、ちょっとどうかと思った。
ジュリエッタが舟唄をうたう娼館にも、ヴェネツィアの香りは、皆無。
この演出家は、『カルメン』が、なかなかよかったのだが、まあ、いまの時代にこのオペラをよみがえらせるには、こういうやり方しかないかと、半ばあきらめながら観た。
だが、歌唱は全員素晴らしく、3人のヒロイン、みな見事だった。
特にアントニアの場のクライマックスは、感動した。
ジュリエッタの場は、かなりいじっており、たぶん、通常の版より短縮されているような気がするが、かえってよかったと思う。
とにかくこのオペラは、長いので。
ただでさえ、あまりに登場人物が多いうえ、主役級の歌手を大量にそろえなければ上演できない作品なので、簡単に再演できないと思うが、ロイヤルなら、できると思う。
できれば、一部を整理して、また観せてほしい。
(余談)
人形オランピア役で忘れられないのは、二期会の鵜木絵里さん。
日生劇場のアリス・シリーズで、毎年、抱腹絶倒、会場大盛り上がりのオランピアを、見せて聴かせてくれた。
今回のオランピアも見事だったが、鵜木さんの芸達者ぶりには、さすがに、かなわない。
もう、観られないのだろうか。