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レックの消費者のレビュー・感想・評価

レック(2007年製作の映画)
4.8
・ジャンル
POVホラー/ファウンドフッテージ/ゾンビ

・あらすじ
夜勤の消防士達を密着取材しにやって来たテレビ局のリポーター、アンヘラとカメラマンのパブロ
しばらくは隊員のインタビュー等で退屈な時間を過ごしていた2人だったが彼らの出動に動向した事で全てが変わる
行き先はとあるアパートで一人暮らしの老女が激しい叫び声を上げていたのだという
警察も出動し、物々しい雰囲気となっていたその場所で事件は起こる
老女は血まみれで興奮状態に陥り、挙句の果てに警官と消防士の2人に噛みつき重傷を負わせてしまったのだ
治療の為に彼らを運び出そうとする一行と住人達、しかしアパートはいつの間にか警察に封鎖されてしまっていた
何が起こっているのか詳細も知らされず監禁状態となった中でも撮影を続けていくアンヘラ達
やがて更なる惨劇と共にその真相が徐々に露わとなっていく…

・感想
POV/ファウンドフッテージ/モキュメンタリー強化月間DAY-28
POVブームの火付け役の1つとして言わずと知れた名作ゾンビホラー作品
かなり前に一度観た事はあったものの記憶が朧げだったので月間の締め括りとして本シリーズを鑑賞

久々に観てみると改めてPOVホラーとしてあまりにも良く出来た作品で驚いた
ゾンビ作品はロメロ監督が定着させて以降、長年に渡り多数の作品が作られ続けている
その為、新鮮な作品を生み出す事は極めて難しい中でここまでの名作を作り上げたという事がただただ凄い…

アパートという閉鎖空間の中で目まぐるしく激しいが必然性のある展開が緊迫感を持って次々となだれ込んでくる絶望感もさることながら細部へのこだわりが端々に見て取れたのが個人的には凄く刺さった
トクダネを求める撮影クルー、救助を第一に考える消防士達、本部の命令を守り閉鎖を維持する警官、徐々に互いへの疑心暗鬼を募らせていく住人達…
そしてそれらが爆発する形で衛生検査官に怒りと疑問がぶつけられ明らかになる伝染病の感染源
そして終盤に明かされるそもそもの発端…
一貫して激しく無惨な世界観を保ちながらもストーリーが生々しく且つスムーズに進んでいく様はとにかく圧巻
そこに人種差別を筆頭とした人間の醜さまでしっかりと描かれているという隙の無さ…

またよくあるゾンビ好きの間での論争として走るか走らないか、というのがある
本作のゾンビは走るんだけど一般的な走るゾンビの映画とは違いゾンビ化した人間の強度があくまで人間だった物らしい脆弱さを貫いていたのが最高だった
鈍器で殴られれば倒れるし首を絞められれば気を失う
それでも走らないゾンビの映画の様な数の暴力の恐ろしさを閉鎖空間を舞台にする事で保っていたのがとにかく巧い
ゾンビのビジュアルも負傷した姿からさほど変貌させないし根源となった人物の監禁されていたが故の痩せ細った姿など作り込みがどこを見ても行き届いていて素晴らしかった
ジャンプスケアの使い方も自然で効果的な物だったし…
これだけ濃密な作品を約1時間15分という尺で実現しているのも凄まじい…
うるささが気になる人も多い様だけどそこはお国柄だと個人的には思った

本シリーズは一応4作が製作されているが全編POVは2作目までという事で次作まではかなり楽しみ!
問題は3作目以降がどうなってるかだけど失速していそうでそこだけは不安…
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