1994年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。リティ・パン長編劇映画一作目、通算長編三作目。マレーシア人作家Shahnon Ahmadによる1966年の小説『Ranjau Sepanjang Jalan』の映画化作品だが、舞台はクメールルージュ後(つまり同時代)のカンボジアとなる。劇中での説明はなく近代的なものが一切登場しなかったので、てっきりクメールルージュ以前の話かと思っていたら、後から調べてみたら違うと分かった。映画は田舎の農村で田畑を所有する一家の絶望的な一年を描いている。夫婦と七人の娘たちという家族構成のせいで父親にひたすら負荷がかかっていたところ、父親はコブラに噛まれてあっさり亡くなり、母親は家長としての重責に耐えられずに狂ってしまい、長女が全てを担うことに…云々。様々な苦難を越えて土地≒国家を守り育てていくという話で、実にリティ・パンっぽいシンプルさ。それでも、近年の作品に比べると、まだ自国の未来について地に足の着いた見方をしていると思われる。一瞬にして男手が失われて女だけで土地を守る…という展開は、クメールルージュ後に残された人々を示しているのかもしれない。ただ、寓話の必然性で物語を動かしているから、マジで印象的な瞬間が全くないんだよなあ。昔話聞いてるくらいの感覚。