一人旅

出発の一人旅のレビュー・感想・評価

出発(1967年製作の映画)
3.0
第17回ベルリン国際映画祭金熊賞。
イエジー・スコリモフスキ監督作。

カーレースに出場するため、ポルシェを手に入れようと奔走する青年の姿を描いたドラマ。
ジャン=ピエール・レオが主人公の青年マルクを演じた青春ドラマで、憧れのポルシェを何とかして手に入れようと必死になる様子が面白い。ポルシェ所有の金持ち熟女をくどいてみたり、モーターショーに忍び込んで盗み出そうとしたりとあらゆる手段を使ってポルシェを狙うのだ。その過程で若い娘との微妙な関係の顛末も描かれていく。娘との会話を通じて自身の生き方を見つめ直していく青年の姿が印象的だ。そのため、本作には精神的に大人に向かう青年の成長物語としての側面もある。残念ながら物語は退屈だったが、コミカルで不思議な演出は魅力的である。娘と協力して大きな鏡を運ぶシーンで、一度割れたはずの鏡が逆再生で元に戻っていく演出は目を見張るものがある。
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