一人旅

ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープルの一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
タイカ・ワイティティ監督作。

ニュージーランドの国民的作家:バリー・クランプによる1986年発表の小説「Wild Pork and Watercress(ワイルドポークとクレソン)」を同国の俊英:タイカ・ワイティティが映像化したコメディドラマの隠れた良作です。マオリをルーツとするジュリアン・デニソンが主人公の少年を演じ、ニュージーランドを代表する名優:サム・ニールが少年と意気投合する老人を妙演します。

両親に捨てられ里親の元を転々としている13歳の太っちょ少年:リッキーと、最愛の妻を失ったばかりの65歳の偏屈な老人:ヘクターとの交流と友愛を描いたコメディドラマで、ひょんなことから自由を求めてニュージーランドの森林の奥深くへと逃げ込んだ二人の逃避行の顛末を、二人のゆくえを総動員で追う児童福祉局&賞金稼ぎとの追走劇を絡めて描き出しています。

お互いに孤独な存在同士である不良少年と老人が山の中でのサバイバル&逃避行を通じて絆を深めていく様子をユーモラスに描いた作品で、親子以上に年が離れた二人の打ち解け合いが“人と人との純粋な心の繋がりの温もり”を優しく謳い上げていますし、舞台となるニュージーランドの手つかずの大自然と季節の移ろいも観客にとって絶大な癒し効果となっています。
一人旅

一人旅