方眼

マネーボールの方眼のレビュー・感想・評価

マネーボール(2011年製作の映画)
4.1
2011年”Moneyball”。オークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーンが、統計学の野球への援用理論”セイバーメトリクス”を用いて、貧乏球団が低コストで最多勝利数を手に入れる話。原作既読。改めて読み直して比較すると、理屈とその効果を説明した本を、うまくドラマに落とし込んでいる。旧来型スカウトとデータ理論の対比にしているのは、わかりやすくし過ぎで、実際は「打率」「盗塁数」「打点」などよりも「出塁率」で選手の貢献を見るという使う数字を変える視点。アスレチックスの試合場面でも、犠打や盗塁を評価しない部分は出てくる。変わり者のアンダースロー投手、若きクリプラ演じる元捕手ハッテバーグが一塁手へ、などドカベン的採用は実はあまり理論依存してない。ビリー(ブラピ)とデータサイエンティスト位置づけのピーター(ジョナ・ヒル)は、原作ではもっと血の気が多いビリーとハーバード大卒のシュッとしたポール、このコンビはアレンジしており、二人が映画を牽引する。戦争映画のマナーで、元勇敢な兵士が中尉クラスになり、メガネの参謀と一緒にポンコツソルジャーを鍛え上げる展開。何が驚くかと言って、メジャーリーグはシーズン途中でバンバントレードするところ。ここはブラピの見せ場で、電話も受話器とスピーカーと携帯、自分とピーターの話手替え、秘書からの呼び出し、とテンポよく盛り上げる。黒い影が印象的なカメラ、スタジアムよりもロッカールーム中心の本作に合ってる。
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