電気羊

12モンキーズの電気羊のレビュー・感想・評価

12モンキーズ(1995年製作の映画)
3.8
ブルース・ウィリスとブラッド・ピット主演のなかなかに練られたタイムリープSFミステリー。

近未来の地球は、何者かにより拡散された人間だけに寄生する殺人ウイルスにより、地上に住めなくなり地下世界で生活していた。
科学者たちは、タイムマシーンでエージェントを過去に送り込み、ウイルスを拡散した者の抹殺することで現在を変えようと試みる。
エージェントに選ばれたのは、凶暴ながら記憶力と推理力がよい犯罪者のブルース・ウィリスだった。

実はブルース・ウィリスは、少年時代からの記憶を何度も夢に見ていた。その夢は、空港でケースを持って走る男、それを追いかける美女、そして有射殺される別の男、それを目撃している少年の自分という内容だった。

過去に送り込まれたブルース・ウィリスは、ウイルスを拡散した犯人である「12モンキーズ」の手がかりを探る。
だが、未来からきてウイルスにより人類が絶滅するなど力説しても、誰も聞く耳を持たず精神病院へ強制入院となる。
精神病院では、狂信的動物愛護思想の持主の患者ブラッド・ピットと知り合う。ブラッド・ピットの父親は、高名なウイルス・細菌学者で幼いころから動物実験を目の当たりにし、命を粗末に扱う人類へ憎悪を抱いていた。

ブルース・ウィリスは科学者により何度も未来へと引き戻され、そのたびに違う時代の過去へと送り込まれるのだが、ようやく、ウイルスが拡散された時代へと辿り着く。その時代で、過去に自分を精神病院へと強制入院させた精神科の女医が、ブルース・ウィリスが何度も過去に戻っている事実を発見し、味方となる。

ブルース・ウィリスは、ようやく狂信的動物愛護団体12モンキーズのリーダーであるブラッド・ピットと再会する。
ブルース・ウィリスはブラッド・ピットがこれからウイルスを拡散させたせいで、未来の地球では人類が地上に住めなくなるので止めろと説得するのだが、それを聞いたブラッド・ピットは逆にそれはいいアイデアだと父親の研究室から未知のウイルスを強奪する計画を立てる。
ここでタイムパラドックスが発生。
未来のブルース・ウィリスが過去のブラッド・ピットに未来を話してしまったために、ウイルスが拡散される未来へ導いてしまったことに悔恨と責任を感じる。

なんとしてもウイルス拡散を阻止するため、空港へと急ぐブルース・ウィリスと女医。

ウイルス拡散犯人に追いついた結果、犯人はブラッド・ピットではなく父親の細菌学者の助手であることが判明する。
空港の保安検査をとおり飛行機へと向かう助手を発見したブルース・ウィリスは銃を片手に強引に保安検査場を突破。警察官に射殺される。

ここで、またしてもタイムパラドックス発生。空港を走る男=犯人、射殺される男=ブルース・ウィリス、追いかける美女=女医、それを目撃している少年=ブルース・ウィリスという、ブルース・ウィリスが幼少時から何度も夢みたシーンが完成される。

犯人は航空機に乗り込み、ウイルス拡散は防げなかったかのように思えたが、犯人が座ったシートの隣に座っていたのは、ブルース・ウィリスからの12モンキーズの情報を得て、犯人を抹殺しにきた未来の化学者であった。

かくして世界は救われることになったのだが。冒頭でブルース・ウィリスが、地下世界から地上の動物のサンプルを収集していくシーンで、完全防備の防護服と徹底的な感染予防の消毒を受けている姿は、現在の新型コロナの感染防止策と同じでなかなかタイムリーだった。
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