デニロ

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花のデニロのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

1980年のお盆映画。同時上映は『思えば遠くへ来たもんだ』。武田鉄矢が出ているというだけで嫌悪感を催す頃だったので、同時上映の記憶は全くなし。

本作は浅丘ルリ子三回目の登場。今回は渥美清というよりも浅丘ルリ子の惚れた欲目の話になってしまった。旅先の沖縄で病に倒れた浅丘ルリ子。絶望的になりながら懐かしい憩いの地葛飾柴又とらやに一目渥美清に会いたいと手紙を出す。その場に偶々居合わせた渥美清が必死の思いで沖縄に飛び彼女の世話をすることになる。当初は彼女のために献身的に世話をする渥美清だったが、彼女の回復とともに気が離れていき水族館のイルカの指導員の娘に入れあげる。元気になったから働くという浅丘ルリ子に/花でも見て暮らせ、生活は俺が面倒を見る/男のお情けなんかまっぴらだよ/水臭いこと言うな、俺とお前の仲じゃないか/でも、夫婦じゃないだろ。大逆転に狼狽える渥美清をしり目に傷心の浅丘ルリ子はひとり旅だつ。

高校生の頃、「沖縄フォーク村」というLPを持っていた。その中に守礼門という曲があって、その場所から動くことのできない守礼門(沖縄)の悲しみを歌っていた。♬みんなみんな諦めた諦めきれずに諦めた♬。諦めきれない浅丘ルリ子もまた渥美清を思い柴又とらやに戻ってくる。屈託なく沖縄の日々を懐かしむふたり。浅丘ルリ子の島唄に/・・・・俺と所帯を持つか/・・・・・いやあね、冗談よしてよ、みんな真に受けるわよ/あははそうかここは堅気の家だったっけ/わたしたち夢見てたのよ、あんまり暑かったから/そうだよ、夢だ、夢だったんだ

ふたりの思いは絡まり合いながらも遂に成就することはないのか。倍賞千恵子は浅丘ルリ子に言う、あれ、少しは本気だったのよ/うん、わかってた/ここでは、女がつらいのだ。

そしてラストシーン。どこかでお目にかかったお顔ですが、お姐さん/以前兄さんにお世話になったことのある女でございます/はて、こんなにいい女をお世話した覚えはございませんが/ございませんか、この薄情者!!/お前何やってんだこんなところで/商売だよ、兄さんこそ何やってんだい/俺は、リリーの夢を見ていたのよ/いやな別れのシーンからこんなシーンを付け加えてホッとさせてくれます。

原作山田洋次。脚本山田洋次 、朝間義隆 。監督山田洋次。
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